こんにちは。
最近、職場の同僚から「ファシリテーションでいい本はないか?」と質問を受けた際に、「そういえば、社会人になってファシリテーション技術を学んでいる人をほぼ見たことがないな…」と思いました。
チームで働く上で不可欠なスキルな割に、世間から認知されていなさそうだなと。
稚拙ですが、知識の棚卸しがてら、私が会議のファシリテーションをする際に意識していることを整理してみました。
無駄・非効率な会議を無くしたい、会議の生産性を高めたい、と思っている方の参考になれば幸いです。
1.目的とゴール設定を行い、参加者全員に意識させる
何をするにおいても、どこに向かうのか、どこまで向かえばよいのか、を定義することは超重要です。会議においても、同様です。
例えば「効率的な会議の実現」というテーマで会議をする場合においても
■目的:効率的な会議の実現
■ゴール:①参加者全員で現状の問題点の共通認識を持つ、②解決策の打ち手がリストアップされる、③打ち手について、担当者と期限が設定される
と定義し、参加者全員で意識して議論を進めるほうが、「効率的な会議の実現」というテーマだけでダラダラ話すよりも、圧倒的に会議の生産性は高まります。
2.議論のプロセスを設定し、可視化する
集団で思考するには、参加者の力を引き出し、相乗効果を生み出すための「議論・思考のプロセス」が必要になります。
たまに、なんの準備もなしに、「〇〇のテーマについて、さぁどうしましょう?」と会議を設定される方を見かけるのですが、それでは、声が大きい人の発言に引っ張られてそのまま進んでしまうのがオチです。
集団で思考するには、思考プロセス・議論プロセスを設定し、可視化して全員で認識した上で、そのプロセスを進むことが必要になると考えます。
また、適切なプロセスの提示には、日頃からの鍛錬が必要になってきます。ロジカルシンキング・思考フレームワークを、まずは自分一人で考える際に使ってみてはどうでしょうか。
3.発散・収束フェーズを意識する
議論には「流れ」というものがあります。そして、良い結論を導き出すには、良い「流れ」を作ることが大事になります。
その流れづくりで意識したいことが、発散・収束フェーズ。発散フェーズに腰を折るようなコメントはせず、どんどん可能性を広げていく、一方収束フェーズでは結論に向かってどんどんロジカルに整理を行い、脇道にそれる発言をいなす。
このように、「今はどのフェーズだ?」と会議の流れを意識し、良い流れを生み出すことが重要かと思います。
4.発散フェーズは、適切な問いかけで意見を引き出す
発散フェーズでも、うまく議論をマネジメントしないと、意見が全く出てこなかったり、声が大きい人だけが発言したり、という事態に陥ってしまいます。
例えば、あまり発言しない人には「〇〇さん、考え込んでいるような顔をされていますが、いかがですか?」と発言を促してみたり、意見が出ない場合「〇〇という切り口から考えてみたらどうでしょうか?」と視点を変えさせてみたり、「その意見面白いですね!」と議論を加速させてみたり。
あらゆる手段を講じて、発散フェーズを効果的に行えるよう、議論を導くことが大事になります。
5.収束フェーズは、ロジカルに情報を要約する
収束フェーズは難しいです。それまで好き勝手広げていた風呂敷を上手にたたまなければなりません。
ここでは、議論の目的、ゴールに立ち返ることがまずは重要になります。目的に対してどういう軸で意見を整理すればよいかを考え、ロジカルに情報を整理・要約し、結論を導く必要があります。
こちらも、日頃からの鍛錬が重要になってきます。
6.参加者全員で共通認識を取って議論を進める
参加者の力を総動員して議論を進めるためには、全員が同じ認識を持った上で、議論を進めることが非常に重要です。認識が間違ったまま議論を進めると、議論に付いてこれない参加者が発生したり、明後日の方向の意見が出てきてしまったり、と効果的な議論ができなくなってしまいます。
なので、ファシリテーターは、こまめにそれまでの議論を整理し、参加者へ共有することが大事になってきます。「今までの話を整理すると、〇〇ということでしたね。」と全員の認識の統一をこまめに行います。
7.時間管理を行う
議論のプロセスを設計した際、各プロセスに要する時間も設定して全体に共有します。時間は有限です。会議の成果と、かけるべき時間を天秤にかけ、適切な時間を設定し、参加者にそれを守ってもらいます。
「あと◯分で、まだ△の検討が残っているので、この議論はあと□分で終えましょうか」等を提示できるといいですね。
8.準備で9割が決まる
準備、これに尽きます。
会議の開始〜終了までを明確にイメージし、どういう議論プロセスを提示するか、誰に質問を振るか、おそらくどんな結論になりそうか、出た意見はどう集約するか、会議後の次のアクションへはどう繋げるか、これらを効果的に進めるために参加者には会議までに何をしてきてもらわないといけないか、等々。
会議前に、どこまで明確に会議を描けるかで勝負が決まります。これは、イメージしたとおりに会議を進めないといけない、ということではありません。
もちろん会議はナマモノなので、思っていたとおりに進まないことも多々あります。がそんなときに余裕を持って対応できるかは、事前にどこまで予測ができていたかに寄るところが大きいと感じます。
よい会議の実現のためには、準備を怠ってはいけません。
★★
以上、私が会議のファシリテーションで意識していることを記しました。
少しでも参考になれば幸いです。
ではまた。
ファシリテーションの参考文献
↑簡潔にツールが整理されていて、引出を増やすに良い本でした。
↑ビジネス小説。主人公がファシリテーション技術を使って会社変革をしていく様が描かれています。単純に読んでてテンションが上がるのと、会社でのファシリテーション技術を発揮するイメージが湧くと思います。
↑議論を可視化する技法が書かれた本。ファシリテーターは、ホワイトボードの前に立って議論を導く場面も出てくるでしょうから、読んでおいたほうが良いかと思います。なお、私は苦手です(苦笑)