こんにちは、asiyutaです。
先日、家族で福井県に旅行する機会がありました。ルートとしては、福井駅→恐竜博物館→芦原温泉→越前松島水族館→鯖江市→福井駅、という流れだったんですが、道中いたるところに恐竜のオブジェがあったり、恐竜博物館が素晴らしかったり、空き家が幹線沿いに目立ったり、すごく刺激的な旅行となりました。
刺激されている内に色々調べてしまおう、ということで、今日は福井県の現状と展望を少しまとめてみたいと思います。
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1.福井県の地形・歴史
福井県は、北陸地方に位置している。北は石川県、南は岐阜県・滋賀県・京都府に隣接している。北部の福井市エリアに福井平野という平野部があるが、その他は山間の地形がほとんど。日本海に面しており、豪雪地帯である。
もともとは越前国と若狭国。明治には石川県と滋賀県だったとのこと。木の芽山麓を境に嶺北・嶺南に、また敦賀市と美浜町を境に旧越前国・旧若狭国に分かれる。
2.福井県の主要交通網、都市圏
福井市から隣接主要都市へのアクセスについてみてみましょう。
同じ北陸地方の中心地金沢市へのアクセスは、1時間程度。一方、京都市・名古屋市へは、一旦敦賀へ出たうえで、琵琶湖の西・東沿いを南下する必要があり、どちらも2時間程度を要します。ちなみに東京へは、そこからさらに2時間近くを要し、4時間はかかる見込み。
交通的には北陸地方での結びつきが強そうです。
また、高速交通ネットワークの整備も予定されています。
この2023年には福井県内の福井市・敦賀市間に新幹線が開通。2030年までには新大阪までの延伸を計画しています。
一方、リニア中央新幹線も長期的には開通が予定されており、リニアが全線開通すれば、福井市から東京へは2時間強で移動できることが見込まれています。
高速交通網の整備により、都市の距離感はますます近くなっていきそうです。
また、通勤通学圏を確認してみると、福井県民の99%は日中も福井県内に滞在していることが分かります。主要都市圏とは交通アクセス的に距離があるため、独立した都市圏を形成していることが分かります。
また、福井市の状況も見てみると、福井市に通勤・通学が多いということもなさそう。割と職住近接な生活をしている人が多いのかもしれません(仮説)。
3.福井県の人口推移
福井県の人口ですが、総人口は2015年時点で78万人、2040年に64万人。高齢化率は2015年時点で22.5%、2040年に24.1%となっています。
人口ピラミッドを見ると、25~29歳の世代がへこんでいる様子が分かります。大学進学や就職時に県外流出している様子が予想されます。
4.福井県の財政状況、インフラ更新計画
福井県の財政状況を確認してみましょう。
まず目につくのが、人口あたりの人件費・物件費・職員数の大きさです。かなり非効率な行政経営がなされているのでしょうか。ただ、福井県の記事を見ると「全国最小レベルの職員数」みたいな記載も目についたため、原発関係で何かからくりがあるのかもしれません(調べられてないです)。
次に、実質公債費比率の高さが目につきます。行政経営を借入(公債)で賄っている傾向にあり、財政の余裕が小さいようです。ただ、その割に将来負担比率は小さくなっておりますので、単に当該年度の公債費比率が高く振れただけの可能性が高そうです。
次に、歳入・歳出の状況を見ていきましょう。
一般会計の規模間は、5000億円程度。
歳入は、県税が2割、交付税・国庫支出金などの国からの資金が4割、県債が15%、という状況。全国の都道府県平均値と比較すると、県税は少な目、地方交付税は多め、国庫支出金は少な目、地方債は多め、という状況です。
県税少な目、地方債多めということで、財政の資金繰りはあまりよくない状況ではありそうです。
一方歳出は、人件費が2割、公債費が13%、投資的経費が2割、行政的経費が4割という状況。全国平均と比較すると、人件費が多め、公債費返済額が少な目、投資的経費が多めとなっています。
投資的経費が多めなのが非常に意外です。新幹線開通に向けた投資ということなのでしょうか…。
次に、インフラ施設の老朽化状況・更新見通しを見てみましょう。
老朽化状況は、まず橋梁・横断歩道橋・排水機場・海岸保全施設・空港施設で現時点でも4割以上が更新時期を迎えている状況が分かります。
そして、20年後の2040年頃は、半数以上の施設が更新時期を迎えることになります。
高度成長期に建設した施設が、いよいよ一斉に更新時期を迎える時期が到来します。朽ちるインフラ問題ですね。
そして、老朽化したインフラ施設を更新していけるのかですが、長寿命化対策を施せば、現在要している経費+7億円/年程度のコストで何とかしていけそうとのこと。
社会保障費の圧迫が予想される中ではあるので、取捨選択を急ぎつつ、長寿命化策を施して、何とかインフラ施設の維持に努めたいところですね。
次に、公共施設の老朽化・更新見通しです。
公共施設は、庁舎系が4割弱、県立学校が3割強、その他が残りを占めます。
老朽化状況は、現時点で、庁舎系が5割、県立学校が8割弱、警察施設が5割、県営住宅が7割、更新時期を迎えています。そして、2040年頃には、ほぼすべての施設が更新時期を迎えます。
インフラ施設(50年)に比べて公共施設(30年)は耐用年数が短いため、老朽化問題は深刻ですね。
更新見通しは、長寿命化対策をしたとしても、現在の経費+60億円/年を要するとのこと。
抜本的な取捨選択を早期に行い、残す施設・エリアと、諦める施設・エリアの選別を急ぐ必要がありそうです。
5.福井県の産業
福井県の産業状況を見てみましょう。
福井県は、繊維産業、機械産業、眼鏡産業が盛んのようです。その他、日本海を活かした水産業、平野部での農業、県土の75%を活かした林業、あとは全国の25%を占める原発産業を有しているようです。
企業数でみると、全国平均と比べ、卸売業・小売業、製造業、宿泊業・飲食サービス業、建設業の占める比率が多いようです。
卸売・小売は、低密な都市の広がりにより、小規模商店が多いのかも。
宿泊業は、芦原温泉やスキー場を有していることに起因していそう。
建設業は、豪雪地帯の除雪需要も大いに影響していそう。
製造業は、前述のとおり繊維・眼鏡(金属系)・機械系の製造業が強いとのことでしたので、その裏付けでしょう。
従業者数としては、製造業で一番吸収しているようですね。
付加価値額も製造業が顕著。
医療・福祉も高比率を占めていますが、これはなぜなのだろう…。
県の労働生産性は、全国平均よりは低め。ただ、製造業に関しては高水準を誇っています。後述する電子デバイス・化学・電気機械の影響が大きそう。
その強い製造業の内訳が以下。事業所・従業者数は繊維が多いですが、付加価値額では電子・デバイスや化学・電気機械が上位に来ます。眼鏡関係であろう金属系は中位に位置。
電子・デバイス関係で大型工場が稼働しているということなんですかね。
産業用地は、嶺北・嶺南の両方に立地。原発関係の税制優遇策も企業立地に向けた補助メニューとしては提供されていたので、そのあたりでうまみがあるのかも。。
労働力の確保としては、女性もかなり働く風土の様子。工業系の高等学校も一定あり、製造業に必要な人材確保を県内で行いやすい環境と思われます。(定員数が少ないので、人数に不足はありそう)
有効求人倍率は2倍近くを継続して推移。人手不足が深刻な様子。建設や医療・介護分野での不足が特に大きいとの記事も見受けられました。
6.恐竜・鯖江メガネ・繊維業
福井県の特色である恐竜・鯖江メガネ・越前織物を見ていきたいと思います。
恐竜王国福井
福井県が恐竜王国となったきっかけは、昭和57年に福井県勝山市で中生代白亜紀前期のワニ化石が発見されたことのようです。ここが化石が発見しやすい地層だったようで、これを契機に大規模かつ集中的な発掘が行われるようになったようです。
日本で発見された恐竜化石のうち、約8割が福井県で見つかっているとのこと。
そして、恐竜王国福井を象徴する施設が、勝山市にある福井県立恐竜博物館です。ここは世界三大恐竜博物館の1つに数えられている世界的な施設。恐竜の展示はもちろんですが、発掘・地質・鉱物・地学なども総合的に学べる施設となっています。さらに、施設の設計は世界的な建築家である黒川紀章氏が行っており、非常に洗練されています。広大な吹き抜け空間をエスカレーターで一気に4フロア下まで降りるエントランスは壮観です。
また、福井県内にはいたるところに恐竜にまつわるオブジェが設置されています。福井駅から恐竜博物館の道中にも多数あり、当時このあたりに恐竜がいたのだろうな、と妄想を膨らませながら道中も楽しめます。
また、恐竜をテーマにした提携ホテルもあります。楽しそう。
福井県立恐竜博物館は、2023年度にリニューアルオープンしており、2024年度が本格オープンのようです。ますます体験のバリエーションが広がるようで、楽しみですね。
鯖江メガネ
福井県の眼鏡産業は、冬の農閑期の手仕事として始まったようです。その後、1980年代にチタン素材によるメガネフレームの実用化を世界に先駆けて実現したことを契機に、世界的な眼鏡産地となり、現在ではイタリア・中国と並ぶ世界3大眼鏡枠産地となっています。国内の眼鏡枠出荷額において9割のシェアを誇ります。
鯖江市には、450以上の事業者が集まって、眼鏡産業のクラスターを形成していますが、小規模事業者も多く、多層的な流通構造のため、事業者に利益が残りにくい構造となっているよう。中小企業の分業体制のため、機械化などの生産効率向上・量産能力強化がされにくい傾向にありそう。
眼鏡市場の環境は、スリープライスのSPA企業が台頭したことにより、高価格の鯖江メガネは苦戦を強いられています。
鯖江メガネの課題としては、鯖江の眼鏡ブランドを高め、販売力を強化していくこと。一方、高齢化進展と後継者不足により、事業所数は減少傾向にあるようです。
繊維業
繊維業は北陸・福井の基幹産業の1つ。サプライチェーンの川中である織編工程・染色加工工程を担う企業が多い。
繊維業の市場環境は、輸入品の台頭によりこの20年ほどで急激に厳しくなっている。この厳しい環境の中、技術革新等により競争力を高めて、生き残ってきた。
コロナ禍で、服飾購入量は一段と下がっており、さらに厳しい環境に置かれている模様。
7.所感
- まず、都市圏として独立している点が非常に興味深かった。金沢との結びつきが強いと思っていたが、通勤通学の関係性は薄く、かなり独立したエリアということが特徴の一つ。なので、小国の1つとして、どう他国とやり合っていくか、という考え方になる。
- 武器としては、恐竜、鯖江メガネ、繊維業が主力となりそう。恐竜・眼鏡に関しては世界に誇る産地なので、この強みを活かして、どうやって外貨を獲得するかが重要。恐竜への投資は伺えるが、眼鏡に関しては地場が強すぎて変化がなさそうな印象。うまく販路開拓と製造拠点の再編が進められると良さそう。。
- 一方、日本海、豪雪地帯の雪(スキー)、芦原温泉、繊維業なども、うまく生かしていきたい特色の一つ。日本海に関しては、京阪・中京エリアからは一番アクセスしやすい立地なので、立地の強みを活かして戦っていけないだろうか。
- 一方、エリアの低密さ、行政の非効率さが目立った。インフラ・公共施設の取捨選択を行い、残すエリアへの集積を進めることで、都市の効率を上げていかないと、持続可能性への懸念が大きそう。特に豪雪地帯で冬場の除雪が大変。エリアを絞っていく必要がありそう。
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調べたら、また行ってみたくなりました。
次は、原発・鯖江メガネ・繊維業などの産業観光できると楽しそうだな。。
ではまた!