asiyutaの日記

知識・経験・思考のまとめ

中小企業診断士の実務補習「心構え」まとめ

こんにちは、asiyutaです。

先日、1回目の実務補習を受講しました。本当に本当に大変でしたが、わずか2週間ほどで大きな成長実感を得ることができました。貴重な機会を頂き、関係各位には本当に感謝申し上げます。

今日は、来る2回目の実務補習に向けて、心構えをまとめておこうと思います。未来の自分向けではありますが、これから初回の実務補習を受けられる方の参考にもなれば幸いです。

 

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1.事前準備

①指導員から受け取った資料+顧客企業HP類は、全て目を通すべし

事前に色々と資料を受け取ると思いますが、それらに目を通すのは必須です。また、目を通しつつ、SWOTや、戦略・財務・マーケ・生産・組織の観点で情報を整理しておくと、後々に役立ちます。

 

②外部環境分析は事前に終えるべし

外部環境分析は、顧客企業と事業概要が分かった段階でできる作業です。そして、取り巻く環境を正しく理解しておくことで、ヒアリングで聞くべきポイントが明確になったり、その後の議論を正しい認識のもと進めることができます。実務補習開始後に調べる時間はあまりとれないので、事前に整理し終えておいた方が望ましいと感じました。

 

③財務分析もできれば事前に終えるべし

財務分析を行うと、顧客企業の現状と課題が見えてきます。こちらも事前に終えておくことで、ヒアリングの要点や、議論の方向性を正しく認識できます。実務補習開始前に終えておくことが望ましいと感じました。

なお、業界平均との比較をするには「業種別審査辞典」が必須と感じました。またこちらには業界の特徴や動向も記載されており、業界の状況を把握するうえでも活用できます。金融機関に勤めていない場合、図書館等で情報を入手するのが面倒ですが、頑張る価値はあると思います。

 

ヒアリング内容は事前にまとめるべし

当然ですが、ヒアリング内容も事前にまとめておくべきです。もし事前にパート分けがされている場合も、いったん全パートの質問事項を洗い出しておくことをお勧めします。班員の方がヒアリング漏れをした際もカバーでき、後々の議論の質に影響が及びます。

 

⑤顧客企業の業界本も1冊でよいから読むべし

顧客企業の事業内容がなじみある分野なら不要ですが、そうでない場合は、簡単な入門書を1冊でよいので読んでおくことをお勧めします。理解度が全く変わります。

 

2.社長ヒアリング(1日目PM)

⑥事前に準備した質問事項をしっかり聞き取るべし。

まずは、質問事項をしっかりヒアリングすべしです。社長の話は色々と行ったり来たりしますが、話の流れと違うな、少し細かすぎるな、と感じたとしても、臆せず聞くことが大事です。

今回私の一番の反省点がここです。顧客企業のことを何も知らない状況なので、まずは現状をしっかり把握しないと、具体的な課題が全く見えてきません。社長が思っている課題が妥当なのかの判断もできません。忖度せず、ぐいぐい聞き取りましょう。

 

⑦現場の写真を許可を取って撮影させてもらうべし。

可能なら、現場の写真を許可を得たうえで撮影させてもらいましょう。こちらも、まずは現状把握をすることが、課題を明確化するファーストステップという考えです。全く知らない顧客企業について、1度訪問しただけでは印象で議論が進みがちです。そこで写真という事実に基づくことが重要となります。

 

3.グループワーク前半戦(2日目~3日目)

⑧自分のパートは無視して、戦略議論にフルコミットすべし

ヒアリングと現場視察をもとに、顧客企業の戦略を全員で議論します。班長・リーダーは便宜上決まっていますが、最終報告書の質が高まるのであれば、誰が議論をリードしてもOKです。

ときには、ホワイトボードの前に立つことも必要かもしれませんし、議論をパワポで図解して共有することが必要かもしれません。班長・書記等の役割は決まっていますが、できる人が積極的に行って、全体の議論が進めばそれでOKと思います。

全体の戦略が定まらないと、具体的な打ち手として何を提案すべきかが全く見えないため、ここの議論の深度が本当に重要です。可能な限りチームに貢献しましょう。

 

⑨社長に寄り添って考えるべし

社長は何に悩んでいるのか、どこに向かいたいのか、何を解決したいのか。

今回の実務補習先の社長は本当に優秀な方でした。が、そんな社長でも何かに悩み、外部の視点を借りようとされていました。そこに提供価値があると考え、取り組むことが大事と感じました。

顧客企業の参謀として会社に入り、社長と肩を並べながら、悩みの解決に導く。そんなイメージをしながら取り組むのが良いのでは、と考えます。

 

4.グループワーク後半戦(4~5日目AM)

⑩プレゼンを意識して資料をまとめるべし

作成した報告書は、そのままプレゼン資料となります。プレゼン資料になることを想定して資料を作成された方がよいと感じました。

 

⑪具体的な提言を目指すべし

教科書的な提案をしても、相手の心には何も響きません。具体性をいかに出すか。これが重要と感じました。ネット検索等を駆使して事例紹介するだけでも大きく見違えます。

 

5.社長報告会(5日目PM)

⑫プレゼンの発表論点は絞るべし

あれもこれも説明するより、プレゼンの論点は3つ程度に絞るべきと感じました。

報告書は顧客企業に提出します。なので、読めば分かるわけです。そのうえでなぜプレゼンするかというと、報告書を読むだけでは見えてこないことを伝える為です。重要論点を明確に浮かび上がらせ、そこのニュアンスをしっかり理解してもらうことが、プレゼンの意義だと考え、思い切って論点を絞ってプレゼンすべきと考えます。

 

⑬報告会後の社長の本音の悩みに応えるべし

今回の報告会後、社長から本音の悩み相談のような質問が出てきました。この相談にどれだけ寄り添えるかが、コンサルタントとしての本当の技量だと感じました。今回は全く太刀打ちできず、情けない限りでしたが、次回こそはと、準備したいと感じました。

 

6.実務補習後

⑭実務補習で学んだことを実践すべし

実務補習を通じて、圧倒的に成長できます。ここで得た知識・スキルを実践して血肉にしない手はありません。

さっそく自分でビジネスをするのか、自社に戻って実践するのか、人それぞれとは思いますが、せっかくの学びを活かして血肉にしましょう。

 

⑮日々研鑽を重ねて次へ備えるべし

実務補習はあっという間に過ぎ去ります。そして、実務補習中に調べた知識を提言に活用なぞ正直できないと感じました。本業をしつつ、新たに学んで、顧客企業が実践できるレベルで理解して、かみ砕いて提案に入れ込む。そんな時間取れませんでした。

つまり、普段から武器を磨き、解決策の引き出しを増やす、そういう努力が必須と感じました。そして、その引き出しから顧客企業に合った解決策を必死になって提案するのが実務補習だと感じました。

 

一つ分野を述べると、中小企業はやはり人で困っていると感じました。採用・配置・育成・組織風土醸成等々。色んな事をやりたくても、人がいない・採用できなくてできないでいる現状をヒシヒシと感じました。

筆記試験の事例1について、受験中は正直ピンときていなかったのですが、実務補習を通じて重要さに気づきました。そして、これを武器として磨いておくことが、一つできることとしてあるのでは、と感じました。

 

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以上、心構えを簡単にまとめました。

実務補習中は、睡眠時間が削られたりと本当に体力的に厳しいですが、きっちり戦略をチームで議論して、より良い報告書を目指すことで、自身の成長と、最高の仲間を得ることができる、得難い経験ができる絶好の機会です。

ぜひ、最大限に活用していただければと思います。

 

ではまた。

 

実務補習のおススメ書籍

実務補習中に実際に参考になったと感じた本をご紹介します。

波頭亮「経営戦略概論:戦略理論の潮流と体系」

今回の実務補習では、戦略をいかに描くかが重要でした。この本を読んでおいて、戦略理論の理解を深めておいてよかったなと感じたので、おススメしておきます。

 

寺嶋直史「事業デューデリジェンスの実務入門」

初回の実務補習で、何を準備すればよいか分からない中、この本が参考になりました。初回補習の方にはおススメです。

 

三枝匡「V字回復の経営 2年で会社を変えられますか 企業変革ドラマ」

PPMを用いて各事業の戦略を見直し、実行に落とし込む。小説仕立てで臨場感持ってその方法論を学ぶことができる1冊です。実務補習を振り返って、この1冊がふと浮かびました。まさにこの能力が求められていたのかと。非常におススメです。

 

五十嵐瞭「多品種少量生産の生産管理改善」

今回の顧客企業は製造業でしたが、多品種少量生産をされていたため、以前読んだこの本が非常に参考になりました。提言にも一部盛り込ませていただきました。

 

日刊工業新聞社「今日からモノ知りシリーズ」

あまり詳しくない製造業の業界を知るうえで、このような入門書が非常に理解を助けてくれました。今回の顧客企業は金属材料ではなかったのですが、これとは別分野の本で学ばせていただきました。

 

藤田彰久「IEの基礎」
IEの基礎

IEの基礎

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製造業の現場改善でIEは常套手段ですね。こちらの本も参照しながら、提案内容を検討しておりました。