asiyutaの日記

知識・経験・思考のまとめ

「温室効果ガス46%削減」の経緯と見通し 簡易まとめ

こんばんは、asiyutaです。

少し前に、温室効果ガス46%削減の目標値が「おぼろげながら浮かんできた」発言が話題になりましたね。ネタ化してしまっていますが、日本の今後を左右する大きな目標値と思います。

今日は、この目標値が出てきた背景や、世界・日本が温暖化対策に向けてどう取り組んでいこうとしているか、についてさっと調べましたので、頭の整理がてら記事にまとめたいと思います。温暖化対策に興味のある人の参考になれば幸いです。

 

★★

 

1.地球温暖化の現状

2021年8月9日に、IPCCの第6次評価報告書の第1作業部会報告書が環境省HPより公表されていました。第1作業部会では、気候変動の自然科学的根拠を報告しており、最新の科学的知見を把握できます。

こちらを一部抜粋すると、

  • 人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない

  • 世界平均気温は、…少なくとも今世紀半ばまでは上昇を続ける。向こう数十年の間に二酸化炭素及びその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21 世紀中に、地球温暖化は 1.5℃及び 2℃を超える。

  • 気候システムの多くの変化は、地球温暖化の進行に直接関係して拡大する。この…変化には、極端な高温、海洋熱波、大雨、…農業及び生態学的干ばつの頻度と強度、強い熱帯低気圧の割合、並びに北極域の海氷、積雪及び永久凍土の縮小を含む。

  • …人為的な地球温暖化を特定のレベルに制限するには、CO2の累積排出量を制限し、少なくとも CO2 正味ゼロ排出を達成し、他の温室効果ガスも大幅に削減する必要がある。

とのことでした。気候変動リスクを制限するには、CO2正味ゼロ排出が必須のようですね。

環境省_気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第I作業部会報告書(自然科学的根拠)の公表について

 

2.「温室効果ガス46%削減」に至る経緯

asiyutaの解釈も一部入りますが、おおむね以下の経緯のようです。

 

3.2050年実質ゼロ、2030年46%削減をどのように達成しようとしているのか

①前提の3E+S

まず前提として、エネルギー政策は3E+Sが大原則のようです。3E+Sとは、安全性(Safety)を大前提とし、自給率(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を同時達成を図る、というもの。

 

②大まかな方針は省エネ・電化・脱炭素化・炭素除去

f:id:asiyutav2:20210814231113p:plain

2050年カーボンニュートラルイメージ

成長戦略会議|内閣官房ホームページの会議資料からの抜粋ですが、大まかな方針としては、

  • 省エネを進めつつ
  • 電力部門では、脱炭素電源化を実現、
  • 非電力部門では、電化+脱炭素燃料の実用化、
  • それでも残るCO2排出は、炭素回収技術、植林等により除去

という見通しのようです。

 

③2030年46%削減に向けた主要課題

総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第48回会合)|資源エネルギー庁資料によると、

  1. 省エネ、省エネ法改正によるエネルギー転換後押し、二次エネルギー構造の高度化
  2. 再エネの主力電源化
  3. 原子力の再稼働
  4. 火力発電比率の引き下げ
  5. 水素・アンモニアの実用化を加速
  6. 資源・燃料の安定供給確保

が主に挙げられています。

 

4.所感

最後にざっと所感ですが、

  • あと9年で46%削減はさすがに非現実すぎ。国のリソースを全部そこに割かないと実現できないような目標に感じる。ということで、達成不可能でしょう。
  • 2050年に実質ゼロもイメージが湧かない。。。再エネ導入や省エネは進むとしても、非電力部門での電化・代替燃料化がどこまで進むのか全く見えない。超激重な規制が入らないと産業構造転換はしないと思うが、そんな規制が果たしてできるのか…。
  • CCS技術もどこまで実用化できるのか。。この技術の開発・実用化次第で大幅に左右されそう。
  • とはいえ、人類が持続可能な社会を手に入れるには必要な取組だし、個人としても自分の子供が将来苦しまない社会を残したい。個人としてできることは限られるが、できることはしていきたい。

 

このトピック、機を見てまた深堀したいと思います。

では今日はこの辺で。