asiyutaの日記

知識・経験・思考のまとめ

中小企業診断士 実務補習に向けた準備方法・事前学習書籍まとめ

こんにちは、asiyutaです。

 

先日、3回目の中小企業診断士実務補習を終えました。いやー大変でしたけどすごく楽しい日々でした。貴重な機会を提供してくださった診断先企業様、協会関係者の方々には、本当に感謝です。

 

で、本日は振り返りもかねて「中小企業診断士の実務補習の準備はこうするとおすすめだよ!」ということをまとめたいと思います。

3回の実務補習を終えて「準備の仕方で、実務補習での学びが圧倒的に変わる。にもかかわらずどう準備・事前学習すればいいかの情報が不足していそう」と感じたことがきっかけです。

 

これから実務補習を受講予定の方々、特に私のように普段コンサルティング業務に関わっていない一般サラリーマンの方々の参考になれば幸いです。

 

★★

目次

 

★★

 

1.3回の実務補習の使い分け方

初回は飛び込む、2回目以降は事前学習の上臨む、です。

正直やってみないと勝手がわからないと思うので、まずは飛び込む。そして、飛び込んだら自分の力不足を実感すると思います。なので、2回目に向けては不足部分を学習で補ったうえでまた飛び込む。力不足を感じた部分をさらに学んで3回目に臨む。

このPDCAサイクルを3回の実務補習で実践するのが、個人実感としてはすごく有効でした。

 

また受講のタイミングですが、早く登録して実務につきたい人は、15日コースや7月・8月・9月と連続受講でいいと思いますが、体力的にもキツイ(笑)ので、2月期も活用しつつ学習期間を取りながら受講するのもあり、というのが個人的な考えです。

 

2.1回目の実務補習の準備方法

中小企業診断士試験で学んだ知識をもってまず飛び込む、で基本はいいのですが、飛び込むにあたって診断先企業に失礼のない最低限の準備はいるかと思います。

その準備が、①事前受取資料の確認、②診断先企業のHP検索、③業種別審査事典の確認、④財務分析の実施、⑤事業デューデリジェンスの実務入門の流し読み、⑥質問作成、の6点です。

 

①事前受取資料の確認

指導員の先生によりますが、実務補習前の1週間前くらいに資料を受け取ることが多いようです。まずこれに目を通して、診断先企業のことを理解します。

 

②診断先企業のHP検索

HP検索すると、インタビュー記事があったり、社長が色々な取り組みをされていたり、と情報が見つかります。この辺りを把握しておくことで、診断先企業の様子が少し見えてきます。

 

③業種別審査事典の確認

少し大きめの図書館に行けば、大体置いてあると思います。診断先企業の関連ページを読むことで、その業界の特徴、取り巻く環境を概観することができます。ここ怠ると後で痛い目にあいます。

↓こういう辞典みたいな本です。大きくて面喰いますが、一読の価値はあります。

 

④財務分析の実施

指導員の先生から、事前に決算書資料を受け取ることが多いようです。事例Ⅳの大問1のような財務分析をEXCEL等にまとめておきます。業種別審査事典の業界平均と比較すると、状況がより見えます。

 

⑤事業デューデリジェンスの実務入門の流し読み

これは、ヒアリングの質問内容、診断報告書のアウトプットイメージを掴むという意識でざっと流し読みます。

 

ヒアリング質問作成

①~⑤を踏まえて、質問内容を考えます。

初回受講時は何聞いていいか分からないと思いますが、企業の現状を正しく把握するために知りたいことを、素直に質問項目として挙げればよいと思います。現状把握さえできてしまえば、改善策は持ち帰って検討しようがありますので。

また、あまり担当パートに縛られず、全体的に知りたいことを考えると、質問漏れも防げ、自身の視野を広げるうえでもよいと思います。

 

3.2回目以降の実務補習の準備方法

2回目以降は、どの担当パートを受け持ちたいか狙いを定めて事前に学習することをお勧めします。一般的に実務補習の担当パートは、①経営戦略、②財務会計、③人事・労務、④マーケ・営業、⑤技術・生産、⑥情報、で構成されることが多いようですので、この分類で記載したいと思います。

 

①経営戦略パートの事前準備

経営戦略パートでは、以下の書籍を事前によんでおくことをおすすめします。

(1)ケースメソッドMBA実況中継01 経営戦略とマーケティング

名古屋商科大学ビジネススクールの講義の様子を体感できるような1冊。この本の前半部に、経営戦略・マーケティングのフレームが端的にまとめられているのですが、ここが素晴らしく分かりやすいです。

また後半部は講義の実況中継なのですが、経営戦略・マーケティング戦略を考えるうえで重要な観点が、大手企業のケースをもとに体感できます。

 

(2)一橋MBA戦略ケースブック

次に、一橋大学MBAで企業の経営戦略を分析してまとめた事例が多数載っているこちらの本。この本では、経営戦略に関するフレームワークをどのように使うのかが学べます。

例えば、5フォース分析、4Ps、ポジショニング、PPM、などなど。聞いたことあっても使ったことはなく、具体的な使い方は知らない、という一般サラリーマンが大多数かと思いますが、こちらの本で学べます。

また、色んな企業の戦略・業界構造を事例として頭に入れておくことで、引き出しが増え、対応力が増した感覚がありました。これもこの本の良い点かと思います。

 

(3)大前研一ケーススタディ

最後にこの本。60の企業について、大前研一さんからの設問をもとに、自分なりに調べたうえで戦略を考えてみて、大前研一さんの解と照らしてみる、という構成の書籍です。

企業のIRページとか読みつつ実際に考えてみることで、実践力が鍛えられます。また、色んな業種の業界構造・知識ストックもできます。

大変ですがとても面白い本でした。ほんと3C分析大事。。

 

 

(4)事前の5フォース分析の実施

診断先企業が分かってから実務補習初日までに、5フォース分析は終えて臨むようにすると、実務補習期間中の議論の質が高まって非常におすすめです。

 

財務会計パートの事前準備

(1)中小企業の財務分析

まずは、財務分析を正確に行うことが必要となります。診断士試験ではあまり触れない指標についても、こちらの本で計算方法が分かりますので、目を通しておくことをお勧めします。

 

(2)融資関係の知識インプット

一般サラリーマンで経理畑にもいないような人には、融資周りのことがが全く分かりません。が、中小企業経営では融資関係・銀行とのお付き合いの仕方って結構重要なテーマだったりするようです。

ということで、以下の書籍でインプットしておくことをお勧めします。これ読むと、融資回りの解像度が高まります。

 

(3)簿記2級取得

決算書や事業の動きとお金の動きのイメージが掴みやすくなります。2級レベルは必須かなと。

 

(4)管理会計関係の知識インプット

売上目標の立て方、投資意思決定、どうやって業績管理すればよいか、などなどは管理会計の分野になります。経営に直結する知識なので、インプットしておく必要あるかなと思います。

こちらでご紹介している書籍類がおすすめです。

 

asiyutav2.hatenablog.com

 

(5)財務分析、損益分岐点分析の事前実施

以上の知識を踏まえて、事前に受け取った決算書をもとに、財務分析、損益分岐点分析を終えた状態で、実務補習の初日に臨みます。

 

③人事・労務パートの事前準備

(1)「組織は戦略に従う」の従わせ方、組織の設計方法を学ぶ

組織は戦略に従う、という言葉があるように、戦略を遂行できる組織構築がまず人事においては重要と考えます。

波頭亮さんのこちらの本では、どのように組織を設計すればよいかが描かれており、非常に勉強になります。

 

(2)人事とは何ぞや、を学ぶ

次に、人事の守備範囲、やるべきことを網羅的に把握します。

こちらの本では、試験でやった茶化(採用→配置→育成→評価→報酬→代謝)の基本を押さえることができます。

 

(3)一番の鬼門「採用」を学ぶ

実務補習を3社行って感じたのは、どの中小企業も採用に非常に悩んでらっしゃる、ということでした。採用に対する解像度を高めることは重要と考えます。

以下のような書籍に目を通しておくとよいかと思います。採用ってマーケティング・営業と考え方は同じなのだな、ということが学べました。

 

↓色んな打ち手、事例を知ることができた一冊

 

(4)既存社員を最大限活用するための評価制度を学ぶ

採用と並んで悩んでおられたのが、人材をどのように活用するか、どのようにモチベーションを高めていくのか、育成していくのか、という点でした。

そこへの解像度を高めるために、これら書籍でインプットしておくことをお勧めします。

 

↓企業の経営理念から評価基準までの落とし込み方が学べた二冊

 

↓具体的な評価基準の項目事例が参考になる一冊

 

労務管理周りが不足してるので、プラスで補填されることをお勧めします。。

 

④マーケ・営業パートの事前準備

(ほぼAmazon.co.jp: Audibleブック・オリジナルでインプットしました)

 

(1)マーケ・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの役割理解

まず、どのような業務プロセスが一般的なのか、を理解するためにこの一冊。マーケ~カスタマーサクセスまでの一連のプロセスの解像度が圧倒的に高まります。

 

(2)マーケの理解

次に、上述する各プロセスを1つずつ解像度を高めていきます。

マーケ関連は、この辺りの書籍が良かったです。基本は「誰に、何を、どうやって」に尽きることが理解できました。

 

(3)営業の理解

次に営業プロセスの解像度を高めます。

↓再現性高く強い営業組織の構築方法を学べる一冊。

 

↓物語形式の本。営業経験ない人間にも「どう顧客の課題を解決するお手伝いをするか」という姿勢の重要さが分かった。

仕事の魔法

仕事の魔法

Amazon
営業の魔法

営業の魔法

Amazon

 

(4)カスタマーサクセスの理解

次に、カスタマーサクセスのプロセスを理解します。

↓適用範囲はSaaS企業だけでなく、例えば航空機メーカーとかでも考え方を活用できることが分かった。

 

(5)診断先企業のHP、SNS、広告類の確認

上述した知識を得たうえで、診断先企業のマーケ・営業活動方法を、HP、SNS、広告等で確認していきます。

 

⑤おまけ:ファシリテーション力の向上

班長をやる予定があるなら、ファシリテーションへの解像度を高めておくことも事前準備としてやっておきたいところです。

この本が、ファシリテーションに関して、体系立てて端的にまとめておられ、とても参考になります。

 

※技術・生産、情報は、実務補習用に新たに学んだことは特になかったので省略(過去経歴上で学んできているので)

 

4.asiyutaの実務補習の実例(参考)

以下、簡単に体験談をまとめたいと思います。

 

①1回目の実務補習

事前準備としては、以下を実施して臨みました。

  • 事例企業の業界本を2冊読み
  • 「事業デューデリジェンスの実務入門」を読み
  • 事前受取資料をざっと目を通す 程度

結果、

  • 取り巻く環境の調査が不足し、苦しむ。
  • ヒアリング漏れが生じ、苦しむ。
  • 圧倒的実力不足と、学ぶべきテーマがたくさん見える

 

②2回目の実務補習

事前準備としては、人事パートか、マーケ・営業パートを担当することを狙いつつ

  • 人事・マーケ営業に関する上記書籍+αを読み、知識を体系化した
  • 人事関係については、できる範囲で自社内で実践して感触を得た
  • 実務補習初日までに、取り巻く環境の調査を完了させた。

結果、

  • 人事パートを担当。事前学習により1回目よりまともな提案ができ、人事パートに関する理解もさらに深まった。
  • マーケ・営業についても、事前学習の効果で解像度高く見ることができた。
  • 取り巻く環境の事前調査結果は班内に共有して、多少の貢献に。

 

③3回目の実務補習

事前準備として、経営戦略パートか、財務会計パートを担当することを狙いつつ

  • 経営戦略・財務会計に関する上記書籍+αを読み、知識を体系化した
  • 経営戦略・財務会計については、できる範囲で自社内で実践して感触を得た
  • 実務補習初日までに、取り巻く環境の調査、財務分析などを終えた

結果、

  • 学んできた知識をフル動員しつつ、班長として議論をリードすることで、多角的に企業を考えることができた。総合力が高まった実感を得た。
  • 1回目・2回目では診断士としてやっていける感覚が全く持てなかったが、3回目でようやく少し光が見えた。

 

2月→9月→2月と1年かけて受講したのですが、1年間でここまで変わるか、、という自身の変化を感じました。この成長実感があるから、事前準備しっかりして受講する人がもっと増えてもいいよなー、、との想いが芽生え、本記事に至ります。

 

★★

 

以上、めっちゃ長くなりましたが、中小企業診断士の実務補習に向けた準備方法についてまとめました。

せっかく受講するなら、機会をうまく生かして成長に繋げていただければと思います。

 

ではまた!