こんにちは、asiyutaです。
この間、子供が1歳になりました。いやー1年間本当に早かった。そして充実でした。それもこれも、色々な支援を受けられているからこそで、本当にありがたいです。
子供が生まれるまでは、漠然と「日本の子育て支援ってヤバい(悪いほう)のかな…」なんて思っていましたが、実際1年間子育てしてみることで、色々と実体験として「良い面」「悪い面」が見えてきました。
今日は、そんな1年間を振り返ってみて、出産前~1歳までの日本の子育て支援策の是非をまとめてみたいと思います。
これから子供を産もうと思っている方、子育て関係の仕事に携わっている方の参考になれば幸いです。
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1.出産前~出産まで
過去記事をご覧になられた方はお気づきかもしれませんが、出産までは色々と考えた期間でした。その経験を踏まえて感じたことを記載します。
①年齢による出産リスクはもっと正しく認知されるべき
高齢出産は、様々なリスクを伴います。ぼんやりと知っている人も多いと思いますが、子供が欲しい夫婦は、早いうちに正しい知識を持っておいたほうがいいのでは、と感じます。
こちらの記事によると、高齢出産のリスクとして
- 流産率の向上(25~34歳で約10%、35~39歳で約20%)
- 妊娠・出産による胎児死亡率の向上(22~32歳で約3.8人、37歳で約5.2人、出産千対)
- 妊産婦死亡率の向上(21~30歳で約3人、35歳で約6.6人、出産千対)
- 子どもの染色体異常率の向上(25歳で0.8%、35歳で2.6%)
が紹介されています。数字で見ると、かなり如実にリスクの違いが分かるかと思います。(※女性に限らず、高齢男性でもリスクが上がるとの記事もありましたが、詳しい記事が見つからなかったため省略。)
いつ出産するかは個人の自由ですが、年齢によるリスクの違いをきちんと把握したうえで、ライフプランが計画されるようになると、皆もっと生きやすくなるのでは…と感じました。学校の保険の授業とかで、この辺もっときちんと教育してもいいのでは…(習ったのに覚えていないだけか?)
②無痛分娩はもっと広がっていいと思う
我が家では、無痛分娩を選択しました。結局それでも凄く痛そうだったのですが、「出産への恐怖心の軽減」「産後の体力回復の早期化」の観点から、もっと一般的になればいいのに、と感じます。
なお、日本での無痛分娩の実施率は6.1%(2016年)。国によって様々ですが、例えばフランスでは65.4%(2016年)。医療キャパシティの問題があり、まだまだ難しいですが、日本でも、もっとカジュアルに選択できる体制になってほしいなと思います。
③マタニティマークの認知度はもっと上がってもいいと思う
妊娠中を明示するマタニティマーク。20~30代女性では80%以上の高い認知度ですが、同世代でも男性では50%程度であったり、一番知らなさそうな50代以上男性では20%程度と、あまり認知されていない状況。
もっとマークが認知され、妊婦に優しい社会になれば、妊娠することにもっとポジティブになれるんじゃないかなぁと感じます。
例えば鉄道会社も、トンチのきいたマナー啓発広告を掲載するくらいなら、もっとストレートにマタニティマークの紹介とかすればいいのでは…とか思ったり。
まとめ
- 出産リスクを踏まえたライフプランを立てられるような社会に。
- また妊産婦に優しい社会になるよう無痛分娩の拡充、マタニティマーク認知度向上してほしい。
2.産後~1歳まで
産後~1歳までは、嫁が保育園に預けるまで産休・育休を取得。私も産後1か月育休を取得しました。その前提で感じたことを記載します。
①医療体制は整っており、非常に安心感があった
産後の医療体制ですが、
- 定期的な新生児の定期健診があり、そこで異常があれば精密検査に移るという体制が整っている
- 1か月健診等では、助産師さんにも色々相談できる
- ワクチンも計画的に摂取でき、どんどん免疫を獲得していける
と、きちんと仕組みが整備されているなぁ、という印象でした。特にワクチン接種によりどんどん免疫を獲得していくプロセスは、「こうやって現代人に進化していくのか…」と興味深かったです。かなり安心感のある医療制度でした。
②経済的支援も想像以上にあった。共働き世帯としては十分だった
子育ての心配事として、経済的理由を挙げる人が多いかと思いますが、想像以上に経済的支援が手厚い印象でした。
- 出産育児一時金として、出産時に42万円が支給され、出産費用はそれで賄える。(国民健康保険の被保険者が対象)
- 児童手当として、1人毎月~15,000円が支給される。
- 産休中は、勤務先の健康保険に加入していれば、出産手当金が、給与の2/3貰える。
- 育休中は、育休開始前2年間のうち12か月雇用保険に入っていれば、最初の半年は給与の2/3、半年以降は1/2を貰える。
- 子ども医療費助成制度があり、月数百円で何度も医療を受けられる(
働いてないのにお金貰えるって凄い。。また、1歳までって、
と、そこまでお金かかる場面もないので(唯一あげるとベビーカーか)、今の経済的支援でわりと十分な印象でした。
一方、ひとり親だったりすると、上記支援だけでは不足しそうな印象。家賃払うだけで手いっぱいとかなりそう。今回そこまでは調べられていないので、機会があれば調べてみたいと思います。
③預け先も、育休中ならファミリーサポート制度で十分。認知度向上が課題。
行政の取組で、ファミリー・サポート・センター事業というものがあります。こちらは、「子育てを援助してほしい人」 と 「子育てを援助したい人」とをマッチングして支援する制度。
我が家も利用しており、非常によいサポーターさんに恵まれたこともあり、ことあるごとに預けさていただいております。例えば、行政手続きの時間確保のため2時間預けたり、息抜きのために3時間預けたり、と。価格も1時間800円と破格の安さ。
育休中であれば、この制度の利用だけで本当に充分だなと感じました。
ただ、認知度が課題。身近にも制度を知らない人がいたりと、せっかくよい事業なのに非常にもったいないなと感じます。
もし、ベビーシッター業界からの圧力で広報しづらいとかであれば、義務教育と塾みたいな棲み分けで負けずにぜひ推し進めてほしい。
行政の皆さん、広報活動に力を入れて、ぜひ頑張ってください。
子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)について|厚生労働省
④ファミリー向けの賃貸住宅の供給量は、もっと増えてほしい
子どもが生まれるにあたり、引っ越しを行いました。たまたまファミリー向けの良い賃貸物件が見つかり、運よく入居できたのですが、その際、ファミリー向けの賃貸物件すくなくね?と感じました。
少し調べると
- ファミリー向けより、単身世帯向けのほうが、投資利回りがよい(なぜ賃貸物件には、満足できるファミリー向けが少ないのか? | 家を買って得する人、損する人 | ダイヤモンド・オンライン)
- 市場自体も、ファミリー世帯は縮小し、1人世帯が増えている
- 持ち家信仰により、子供できたら新築戸建てを購入する世帯が多そう(仮説)
あたりが要因にありそう。
ただ、日本の人口は縮小トレンドであり、空き家も問題化しつつある状況を踏まえると、既存の住宅ストックをうまく生かして、ファミリー向け賃貸住宅ストックが増えるような施策がなにかないものか…と非常にモヤモヤします。
このあたりは、どこかで施策等の状況を調べてまとめてみたいなと感じました。
⑤社会インフラの質は場所によりけり。子育て支援を謳うエリアは行動でも示してほしい。
あくまで我が家の周りの話ですが、
- 歩道はわりと広くて平ら。ベビーカーで押し歩いても、問題ない。
- 駅にはエレベーターが完備されており、場所は不便な位置だけど、何とかなっている
- 近所のショッピングモールには、ベビールームがある
- 近所の公園には、芝生、人口芝があり、子供を寝ころばせたり、歩かせたりできる
と充実している状況。ただ、かなり特異な状況とも自覚しており、全国的にもっと頑張ってほしいな…と感じます。
子育て支援を謳う自治体は、公園の芝生・人工芝化や、エレベーター・ベビールームの設置努力義務化、歩道の改良等に力を入れてもいいのでは…?と。
財源や実施主体の問題もありますが、公園の一部芝生化だけでも超ありがたいので、ぜひご検討いただきたいですね。行政の皆さん、ぜひ行動で示してください!
⑥仕事と子育ての両立は、企業側の努力次第。「くるみんマーク」の活用が1つの鍵か?
仕事と子育ての両立は、ほぼ企業側の努力次第となっています。特に男性の仕事・子育ての両立は、かなり難しい問題ですね。
男性の育休取得率は5.14%(平成29年)とまだまだ低い状況。twitterでも男性の育休取得をめぐるハラスメントが話題に上るような状況です。
「共同参画」2018年201806 | 内閣府男女共同参画局
法で規制するのは難しいと思うので、個人的には、
- 労働者は、子育て支援が充実している企業を選択する
- 企業は、優秀な労働者を長期間確保するため、男女両方の子育てを支援する
という流れ・社会認識を作りだすしかないのかなぁと思います。そして、そのために「くるみんマーク」の活用がもっと進めばよいのでは?と感じます。
くるみんマークとは、一定の基準を満たした企業が申請を行うことによって、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣から認定を受けられる制度です。最優良のプラチナくるみんマークでは
- 男性育休取得率13%以上
- 女性の育休取得率が75%以上
- 子の1歳の誕生日に在職している女性社員の割合が90%以上
- 社員の残業が月平均45時間未満
等が保証されています。
厚労省は、くるみんマークを取得した企業を公表していますので、労働者が就労先を探す際、積極的にこのマークを活用することで、社会の機運を作っていけないかな、と。ちなみに、「プラチナくるみん」の認定企業はわずか425企業。もっと広がってほしいですね。
そのためにも、この制度の認知度の向上が必須となります。行政には頑張ってもらいたいところです。
くるみんマーク・プラチナくるみんマークについて |厚生労働省
⑦保育園キャパは必須。保育園情報入手の容易化も改善してほしいところ
我が家は、運よく希望の保育園に入園できました。が、これがもし入園できなかったとなると、かなりぞっとします。夫婦のどちらかが、キャリアをあきらめないといけないかもしれないなと。
もちろん、子育て期間が終わってからビジネスに戻り、輝かしい実績を上げる方もいらっしゃいますが、一労働者としては、あまりに長期間仕事から離れると、少なくともその会社でのキャリアを棒に振ることになりかねないな、、と。
仕事と子育ての両立のためにも、待機児童は根絶し、保育園キャパはしっかり確保してもらいたいところです。
また、保活を通して、保育園情報の収集ってすごい大変だなと感じました。web上にはほとんど情報がなく、行政が配布するパンフレットにも必要最低限の情報しか載っていない。実際に見学に行って、あれこれ質問してようやくその保育園が見えてくる、という状況。情報収集にコストかかりすぎだろうと。
このあたりを解消する、情報まとめサービスとかがうまく機能するとありがたいなぁと感じました。
まとめ
- 子育て支援制度は割と整っている。認知度向上による活用促進が課題。
- ファミリー向け賃貸住宅ストックの増加の課題は根深そう。
- 仕事と子育ての両立に向けて、子育て支援企業に優良人材が集まる流れを。また保育園キャパは必須条件。行政頑張れ!
★★
以上、ざっとまとめてみました。
かなり勝手な要望を述べてしまっていますが、自分の子が親になるころには、もっと子育てしやすい社会になってくれることを願って、また定期的にまとめていきたいと思います。
ではまた!