こんにちは、asiyutaです。
今年、中小企業診断士2次筆記試験を独学で合格しました。(2019年は落ちたため、1年越しでした…。得点は、事例1から順に70、86、75、60でした。)
この試験、論述形式なので独学だとなかなか勉強しづらく、予備校に通われる方多いかと思います。twitterみてても、2次試験落ちた後に予備校選びされている方のツイートをよく見かけます。
ただ、予備校通うとお金もかかるし、通う時間もなかなか確保できないので、独学するか迷われている方もいらっしゃるかと思います。
そこで本日は、私の独学での勉強方法についてご紹介させていただきます。
中小企業診断士試験の勉強を独学でされている方、又は独学か予備校で迷われている方の参考になれば幸いです。
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1.診断士2次試験 独学の難しさとは
2次試験は論述形式の試験となります。そして独学の最大の問題は、
- 自分の書いた答案が合格ラインなのか、何点くらい取れそうなのかが分からない
- 合格ラインに到達するには何が足りないのか分からない
ことにより、正しい方向に向かって勉強できているのかが分かりづらい、ということに尽きると思います。
明確な答えのある1次試験との大きな違いです。診断士協会側も模範解答を公開しないため、正しい答えは誰もわからない状況です。
独学をするには、この一番の問題をどう克服するかが重要になります。
2.独学の勉強方針
独学での勉強ですが、『「ふぞろいな合格答案」を用いた過去問の自己採点』をベースに学習を進め、1で挙げた問題点を克服すること、が基本方針となります。
「ふぞろいな合格答案」とは受験生から再現答案を集め、どのようなキーワードを記載した答案が高評価を得たかを分析し、採点基準を「キーワード」により明確化した、独学受験生のバイブル的な書籍になります。
そう、独学のネックである採点基準が、膨大な受験生の再現答案から導かれているのです。この本を使い倒すことが独学では重要と考えます。
その他、勉強方法として重要なことは、
- 本番と同じ環境で過去問演習を繰り返す。
- 必ず復習して、再現性ある自分なりの答案プロセスを手に入れる。
- 解答に必要な1次知識は最低限暗記する。
- 事例4は過去問とは別で対策する。
あたりになります。具体的な内容は以下に記します。
3.独学での勉強方法
事例1〜4とも、以下のように過去問ベースで勉強することをオススメします。
①試験問題、解答用紙をオンラインで取得し、印刷する。
過去問をベースに、本番と同じ環境で演習を繰り返すことが非常に重要となります。そのためにまずは試験問題、解答用紙を印刷しましょう。
なお、印刷サイズは本番と同じサイズ(試験問題:B4、解答用紙:A4)で印刷しましょう。私は印刷会社に復習分も含めて各年2部印刷しに行きました。
過去問ダウンロードサービス - 中小企業診断士|LEC東京リーガルマインド
2次試験過去問ダウンロード│AAS中小企業診断士 2次試験対策専門校
②過去問をなるべく本番と同じ環境で解く。解答にかかった時間は記録する。
本番に100%の力を発揮できるよう、本番と同じ環境で過去問演習を繰り返しましょう。本番と同じシャーペン、消しゴム、電卓、時計を使う等です。
また、過去問演習の際、何に何分かかったかを記録しながら解きましょう。問題文を読むのに何分、設問を読むのに何分、解答方針を立てるのに何分、第1問の解答に何分、と。この記録が、後で自分の答案作成プロセスの振り返り、改善するのに役立ちます。
③ふぞろいを用いて添削、解説読み
自分の解いた答案を、ふぞろいを用いて添削をしましょう。採点官になった気持ちで添削することが大事です。そうすることで解答時には気づかなかった自分の文章の読みにくさ等にも気づけるかと思います。
私は、時間があったので、10年データブック+直近の年度別ふぞろい合格答案を買って対策を行いました。年度別のふぞろいの方が、ストーリー仕立てでそのキーワードがなぜ重要かがかかれていたりするので、お金に余裕がある方は揃えてもよいかもしれません。
2018年版 ふぞろいな合格答案 エピソード11: 中小企業診断士2次試験
④TAC第2次試験過去問題集を読み、事例を深く理解する
TACの過去問題集の事例企業の洞察はずば抜けています。これを読むことで、自分ひとりで問題文を読むだけでは気づかなかった事例企業の置かれている状況を理解することができます。
TACのような答案を作成することは難しいですが、問題文を洞察する着眼点をここから学び、本番に問題文を読んだ際、ぱっと事例企業が置かれている状況を推察できるようになりましょう。
私は、ふぞろいに合わせて、2冊(10年分)のTAC解答を用意して読んでいました。
⑤答案作成プロセスを振り返る
自分の答案作成プロセスを振り返り、どこに時間がかかったか、どこの時間が短縮できたか、点数を伸ばすにはどこに時間を確保すべきかを考えましょう。
2次筆記試験は時間との戦いです。おそらく最初は時間が全然足りないと思いますが、この振り返りを繰り返すことで、徐々に時間内に収まる自分なりの答案作成プロセスが身につくと思います。
⑥自分の中の理想答案を作成する
「ふぞろい」「TAC解説」をもとに、自分の中の理想答案を作成します。このとき重要なことは、「自分の実力でも書けそうな範囲内で、理想答案を作成すること」です。
参考書を読むと「こんな回答があったのか!」と唸ることが多々あるかと思いますが、そういう文言はなかなか本番で自力で書くことはできません。本番で合格答案を書く力を養うためには、自分で書ける答案の質を高めていくことが必要です。その質を高める為に、理想答案を作成します。
なお、この理想答案は過去問答練を繰り返すうちに、答案に必要な知識が定着して、どんどん良くなっていきます。なので、見栄を張らずに、今自分の力で書ける範囲の理想答案でOKです。
⑦「2次試験合格者の頭の中にあった全知識」等で過去問に関係する知識をインプット
2次試験で使う1次知識はこれだけでOKです。最低限、全知識の内容はしっかり覚え、解答時にスムーズに使えるようになりましょう。
なお、余裕がある方は、問題文で知らなかったキーワードをネットで調べることもおススメです。例を挙げると、私は、マシニングセンタ等の加工機器はyoutubeの動画を見て理解を深めました。
※同シリーズに「全ノウハウ」もありますが、ふぞろい・TACで十分なため購入不要です。
⑧翌日、同じ過去問を再度解き、関係知識・答案作成プロセスの定着度を確認
どんな勉強においても復習が鍵を握ります。1回目の勉強からなるべく時間をあけず、再度問題を解き、⑦の全知識で学んだ知識が使いこなせているか、⑤の答案作成プロセスが実行できているか、④の着眼点から事例企業を理解できているか、そしてそもそも合格レベルの答案を作成できるようになっているか、を確認し、自分のレベルを合格レベルに着実に引き上げていきましょう。
4.その他の勉強
◯事例4について
事例4は、過去問以外にも計算力を確実に身に着けるため、事例4に特化したテキストを1冊は終えるべきかと思います。
よく話題に上がるテキストは
の3つですが、「①30日完成」または「②全知識・全ノウハウ」のどちらか1つを確実に身につけるのでOKです。このどちらかで、十分合格レベルにたどり着けます。「③意思決定会計講義ノート」は、事例4が本当に得意な人が暇つぶしにやるくらいの位置づけと思ってもらって大丈夫です。
なお、私は全知識・全ノウハウを使用しました。重要テーマごとに過去問をベースに解答方法を確立できるので、早期に合格ラインに到達するのに最適かと思います。
◯予備校の模試について
何回かは受けてもいいかと思います。ただし、模試を受ける際は「成績は見ず、添削から自分の答案のクセを修正する」ために受けることを意識してください。
予備校の模試の成績は本当にアテになりません。
まず、予備校の模試の時期と本番の時期がズレているため、予備校の模試でよい点を採っても、本番までに特にストレート受験生に追い抜かされる可能性があります。
次に、予備校の模試の点数は、あくまで予備校が考える採点基準に照らした採点であり、本番の採点基準とは一致しないということです。例として、私はLECの2次試験再現答案ABCD判定サービスを利用し、事例1から順にABBCの判定でしたが、2次試験は合格(70、86、75、60のAAAA)していました。採点基準がいかにズレているかが分かるかと思います。
一方、添削は役立ちます。
自分の書いた答案を別の人(採点官は基本的に診断士試験に合格した方)に読んでもらい、添削いただくことで、自分の答案がいかに読みづらく、分かりづらいか、自分の書いた意図が全く伝わっていないか、どのように書けば伝わるのか、が理解できます。
独学だとなかなか人に読んでもらう機会もないので、模試の添削を活用して、自分の文章の読みやすさを改善しましょう。
なお私の場合、添削コメントを受けて、「ふぞろいに寄せすぎたキーワードだらけの文章」から、「因果を明確にした意味の通る文章」に改善を図ることができました。
模擬試験・模試 - 中小企業診断士|LEC東京リーガルマインド
◯書籍について
時間があれば、以下の書籍を読むこともオススメします。本で背景情報も含めて体系立ててインプットすることで、解答へ知識をスムーズに利用できるようになりました。
<事例1対策>
経営戦略概論/波頭亮
主要な経営戦略のフレームワークが、どのような背景を受けて生み出され、それがコモディティ化したため、そのフレームワークとの差別化を図るために新しいフレームワークができていく変遷を描いた本です。生まれた背景・コモディティ化されたときの課題・変遷を理解することで、各フレームワークを、どのような状況下で、どのような分析するのに有効か、という理解に役立ちます。
経営戦略の考え方は、特に事例1で使いますが、事例2〜4でも使いますので、読んでおいて損はないかと思います。私はこの本で経営戦略の理解を深めることで、事例を分析する切り口が身につきました。
なお、新書の「経営戦略論入門 (PHPビジネス新書)」も同内容でかなり濃い本となっていますので、こちらを購入されてもよいかと思います。
<事例2対策>
小が大を超えるマーケティングの法則/岩崎邦彦
診断士試験界隈で有名な岩崎先生の本。この本を読めば、事例2の方向性がかなり鮮明に見えるようになります。また、小規模事業者のマーケティングの考え方も身につき、今後の企業支援にも役立ちそうと感じています。(「スモールビジネス・マーケティング」も読みましたが、個人的には「小が大を・・・」のほうが好きでした。)
<事例3対策>
多品種少量生産の生産管理改善/五十嵐瞭
別記事(生産管理のおすすめ本 10選 - asiyutaの日記)で生産管理関係のおすすめ書籍をまとめていますが、この本が特に診断士の2次対策として役立ちました。
生産管理関係のコンサルタントを長年されている著書が、生産管理の改善を進めていくための考え方・方策について、具体的に示した1冊であり、この本と照らしながら事例企業を見ることで、事例企業の問題点がかなり見えるようになるかと思います。
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以上となります。
独学は勉強方法に迷うことも多いですが、本記事により、皆様の勉強が少しでも効率的に進めば幸いです。
ではまた!