asiyutaの日記

知識・経験・思考のまとめ

ブラック部活動(先生側)は改善に向かうのかざっと調べてみた

こんばんは。asiyutaです。

 

昨日、中学校の先生(吹奏楽部顧問)をしている友人と飲んだ際に、「平日も残業続き、土日も部活動で出ずっぱり。今はなんとかもっているが、この休みが全くない状況で働き続けるのは、ずっとは続かないだろうと思いながら働いている。」という話を聞き、

 

聞いてはいたが、実際かなりしんどそうだな…と心配になりつつ、そういえば、部活動は外部指導者を活用する方向で…うんたらかんたら…という話があったなと思い、今、政策的にどういう状況なのかをざっと調べてみつつ、今後の見通しを考えてみました。

 

1.そもそも学校の部活動の何が問題なの?

友人の話を総括すると

  • 練習が長時間(朝練のため7:00には出社しないといけない、夜も遅くまで練習、土日も1日中練習あり)
  • 土日も引率しなければならず、休みが全くない状況

の2点により、かなり疲弊しているようでした。

また、練習スケジュールは全て生徒が考えており、先生は生徒のためにそれに合わせて付き添っているとのことでしたので、なかなか難しい立場のようです。

 

2.国はどういう対策をしているの?

まず、「部活動指導員」という制度がH29.4から法律として整備され、動き始めたようです。

学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知):スポーツ庁

部活動指導員とは、「校長の監督を受け、部活動の技術指導や大会への引率等を行うことを職務とする」学校教育法施行規則に規定された非常勤特別職です。

これまでの外部指導者との大きな違いは、先生に代わって引率が可能な点であり、先生が休める機会は大幅に増えそうですね。

ちなみに、この法律を根拠に、文科省では、平成30年度に向けて15億円の予算要求が新規事業としてなされており、各都道府県・政令市の教育委員会でも、予算をもとに、部活動指導員の募集が始まっており、徐々に広がっているところのようです。

大阪市:「大阪市立学校部活動支援人材バンク(部活動指導員)」への登録者を募集します (…>期間の定められた職員採用>期間が1年以内のもの)

 

 

次に、部活動のそもそもの活動時間を制限し、効率的な練習にしましょうという方針がガイドラインとして打ち出されております。

運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン:スポーツ庁

このガイドラインでは、スポーツ医・科学の観点から、

  • 週当たり2日以上の休養日を設けること。
  • 1日の活動時間は、長くとも平日では2時間程度、学校の休業日(学期中の週末
    を含む)は3時間程度とすること。

を推進しています。

また、ガイドラインでは、各都道府県・政令市でもガイドラインをベースに部活動の方針を定めることを求めており、これにならって各自治体が方針をまとめつつあります。

甲府市/甲府市運動部活動に係る方針

国の方針が、地方の現場にもきちんと浸透し、徐々に効率的な部活動の実現に向けて現場が動き出しているようです。

 

 

3.部活動指導員・部活動の効率化の動きに対して、どんな問題点があるの?

国や地方で徐々に動きが広がってきたのはわかりましたが、一方で問題も抱えているようです。

 

★ 

 

まず部活動指導員ですが、「4年で1校あたり3人程度の部活動指導員の配置」を目標としているようです。

 

…うん、正直各校の部活動の数に対して全く足りていないですよね。

 

 

また、人材の確保も難しそうです。

中学校の部活動指導員では、概ね月45,000円くらいの報酬しか出ないようで、単独の仕事としては成り立たない。かつ、その競技に精通している人材でないとなれません。

一体誰がなるのだろう…

ぱっと思いつくのは、

  • 非常勤講師をされている競技経験者の方が、兼務する
  • リタイア世代
  • 自営業で時間に融通の効く教育熱心なアツい人(←いるんかな…)

くらいで、なかなか成り手がいなさそうな印象。

 

 

さらに、部活動の効率化の方も、急にそんな休めって言われても、現場(生徒や教師や親御さんやら)の理解はなかなか得られなさそうな様子。

月1回、部活動休養日を設けた都道府県もありますが、週2日休み、1日上限平日2時間、休日4時間の実現には、かなり先が遠そう(というか無理そう)な状況。

佐賀・長崎の公立中、第3日曜日は部活「一斉休養日」 練習は量より質 - 産経ニュース

 

また、上述した部活動指導員の勤務時間は、ガイドラインに基づいて週当たり12時間以内に設定されているため、それを超える時間は、先生の負担はまだまだ続きそうです。

 

 

4.で、結局今後の見通しは?

 

全く休みがない状況は、徐々に変わってくるだろうとは思われます。

少なくとも週1日部活動休み(平日になりそうな予感ですが)までは、もっていけるんじゃなかろうかと。

しかし、それ以上の効率化は、なかなか世論を形成できないんじゃないかなと。日本人、なんだかんだ苦しい環境を美徳として好む傾向にありますしね。

かつ、部活動指導員も各校3名配置の先が描かれておらず、国としてはそれ以上はおそらく予算は出せないのかなと。

となると、地方の動きが大事になってきますが、国と調整して、独自の条例作って、部活動指導員を充足させるところまでもっていく自治体はなかなかないんじゃないかと。

 

ということで、ちょっとマシにはなりそうだけど、「部活動適度に休もうぜ」という世論が形成できない限り、抜本的な改善にはいきつけないだろう、という所感です。

 

 

うーむ。

全ての先生、体に気をつけて無理しない範囲での指導でいいですからね…。

 

機を見て、この話題はまた書こうかなと思います。

ではまた。