そして、あまり国内観光では意識されませんが、観光地に訪れ、違う地域の人々が交わることによって、地域同士(国同士)の相互理解の増進が期待できます。これは、国外においてはもちろん、国内観光においても、例えば地方と都市部の相互理解増進による政策への理解の深まり等、重要な役割を果たしていると考えられます。
狭義の観光地とは、見る・学ぶ目的で訪れる場所であり、例としては、まちなみ観光地、都市観光地、寺社観光地、自然風景地等が挙げられます。
そこでは、観光客は「周遊型観光」を行います。つまり、ある観光スポットまで移動し、そのスポットを見て回り、また次の観光スポットまで移動するという行動形態をとります。そのため、観光地での滞在時間短く、経済効果は少なくなります。
一方、狭義の観光地に存在する観光資源は代替性が低く、家の近所にあるような資源でないため、わざわざ遠出して見に行く価値を有しているため、誘致圏は大きいと考えられます。もちろん、その誘致圏は、観光資源の魅力度によって左右されますが。
この狭義の観光地での活性化の戦略としては、まず、観光資源を良好な状態に保つこと、次に、滞在時間を増すために昼食・休憩の場を用意すること、そののち宿泊施設を用意して宿泊地としての体裁を整えていく流れが考えられます。また、自然風景地については、景観の破壊をせず、静的・動的の両面から景観の見せ方を検討することも重要です。
(2)レクリエーション地
レクリエーション地とは、レクリエーション活動する場所であり、例としては、スキー場、海水浴場、農山村地等が挙げられます。観光客は、居住エリアからレクリエーション地に移動し、その地に滞在してレクリエーション活動を楽しんだ後、居住エリアに帰るというピストン型の行動をとることが多いです。滞在が期待できるため、レクリエーション地の経済効果は一般的には大きくなります。
一方、レクリエーション地は、人工的に開発された場所であることが多く、資源の代替性が高いため誘致圏は狭い傾向があります。そのため、市場となりうる都市部との近接性(アクセスの良さ)が、レクリエーション地の成立条件となります。
発展の戦略としては、まずは魅力的なレクリエーション活動を用意すること、次にレクリエーションを楽しむための拠点となる宿泊地を用意すること、そして天候に左右されないように観光施設を作り、観光地としての魅力を付加することが考えられます。
(3)宿泊地
宿泊地とは、観光客が宿泊する場所であり、日本の場合、主に温泉地が該当します。観光客はそこに宿泊だけを目的に訪れることもあれば、他の目的を充実させるための手段としてそこに訪れることもあります。また、旅行者の滞在時間が長く、消費も大きいことから、地域経済効果は最も大きくなります。
また、誘致圏については、観光ルート上に位置したり、レクリエーション地に併存するときは、観光地とレクリエーション地との誘致力に左右され、一方、単独で成立しているときは、レクリエーション地と同様のピストン型となり、市場との距離が重要になってきます。
発展の戦略としては、レクリエーション施設(テニ
スコート、ゴルフ場、スキー場等)を作り、魅力を創出して滞在時間を増やしていくことが考えられます。
以上が、観光学における観光地の3分類です。まずは、教科書的な知識として、この3分類を頭に入れておく必要があるかなと思います。
3.その他の観光客の動態を把握する。
また、観光客の動態として、
じゃらんリサーチセンターの調査結果より下記のようなことが知られています。このへんは抑えておいたほうがいいのではないでしょうか、ということでざっくり紹介します。
①旅に出る主な理由の分類
人が旅に出る理由は、主に下記の7タイプに分類できるようです。
- 彼女に誘われたから旅に出るタイプ。彼女との関係を充実させたいという欲求を持っている。
- 家族の記念日を充実させるために旅に出るタイプ。女性30〜40代の既婚子あり層に多い。楽しい体験をしたい、季節感を感じたいという欲求を持っている。
- いろいろ見ておいて見識を深めたいから旅に出るタイプ。女性のシニア層に多い。
- 恋人とイチャイチャするために旅に出るタイプ。男女20代の未婚層が多い。
- アクティブで楽しいこと大好きタイプ。男女20代がやや多めで、話題作り等の欲求を持っている。
- ゆっくりするために旅に出るタイプ。男女50代以上に多く、温泉、季節を感じることに対して欲求がある。
- 自分探しのために旅に出るタイプ。
②旅行先の都道府県を決める理由
次のような理由で旅行先を決める人が多いようです。
- 特定のイベントやアクティビティに興味があったから(千葉、沖縄、大阪、三重、福岡などが該当)
- テレビや雑誌などで話題になっていた(島根、三重、長崎、千葉、沖縄などが該当)
- 特定の観光地・観光スポットに興味があった(島根、三重、長崎、沖縄、千葉などが該当)
- そこならではの食、特産品に興味があった(北海道、香川、高知、沖縄、富山などが該当)
- 良い宿、ホテルがあった(群馬、静岡、大分、栃木、長野などが該当)
- 魅力的な温泉があった(大分、群馬、岐阜、栃木、愛媛などが該当)
③旅行メンバーの形態
以下のようなメンバーで旅行をするようです。
◯20~34男:一人旅26.1%、恋人18.9%、友人18.7%
◯20~34女:友人19%、恋人17.6%、夫婦二人14.5%
→気ままに一人、友人、恋人と旅していることがわかります。
◯35~49男:小学生以下子連れ家族28%、一人21.9%、夫婦二人14.5%
◯35~49女:小学生以下子連れ家族30.8%、夫婦二人17.1%、親連れ家族11.4%
→子連れで旅行していることがわかります。
◯50~79男:夫婦二人38.2%、一人17.7%、友人10.7%
◯50~79女:夫婦二人31.2%、その他家族旅行17.7%、友人17.2%
→熟年夫婦で旅行していることがわかります。
④旅行先での行動と消費額
旅行先で行う主な内容とその消費額は以下のようになるようです。
- 昼食57% (1480円)
- 観光施設に行く・遊ぶ45.1%(3070円)
- 直売所・道の駅・お土産屋で買い物53.2% (5830円)
- 夕食40.7%(2980円)
- 喫茶・スイーツを食べる22.8%(970円)
- 朝食21.9%(860円)
⑤リピーターの特徴
リピーターになりやすい人、リピーターと非リピーターの行動特性の差は次のようです。
- 観光地から居住地が近い人の方がリピート率が高い
(再訪率:同地区47.2%、隣接37%、遠距離31.4%)
- 初回訪問が18~24歳で、一人旅or家族旅行で訪問している人がリピーターになりやすい。
- リピーターは、非リピーターよりも、喫茶・スイーツの飲食、専門店や百貨店での買い物、友人・知人の訪問をより楽しむ。
- リピーターは、非リピーターよりも、名所・旧跡の観光、自然鑑賞、同行者との会話をより楽しまない。
- リピーターの方がいっぱいクチコミしてくれる
- リピーターの主なクチコミ内容は地元の食37.6%、自然の景色28.4%、宿・ホテル27.5%、温泉22.3%、郷土料理・ご当地グルメ21.3%
- 非リピーターの主なクチコミ内容は、自然の景色38.6%、地元の職35.8%、名所・旧跡31.1%、宿・ホテル24.3%、温泉23.7%
- リピーターは、非リピーターよりも、地元のお土産・買い物スポット、地元のスイーツやお菓子、専門店や百貨店で買い物について口コミを行う一方、名所・旧跡、自然の景色、歴史を感じるまちなみ散策について口コミを行わない。
- リピート理由はもう一度体験したいから、もっと上手にできるようになりたいから、現地で面白い情報を手に入れたからなど。
⑥海外(ASEAN3か国(シンガポール、タイ、マレーシア))地域の観光客動態
シンガポール、タイ、マレーシアの人々は、次のような動態を示すようです。
- 日本に旅行したいと思ったきっかけは、日本の食事56.7%、日本の自然・風景55.9%、日本のライフスタイル47.9%、日本の伝統的な文化44%、日本のファッション34.6%
- 旅行を検討する際に比較した国は、韓国34.1%、中国20%、台湾18.5%、香港・マカオ13.2%、シンガポール9.1%
- 比較検討した際の日本の魅力は、魅力的な観光コンテンツ61.1%、休暇の季節と旅行内容の合性41.6%、滞在期間がちょうどよい39.8%、価格がちょうどよい37.8%、話題・流行36.7%
- 日本のある観光地に訪問した目的は、美味しい食事37.2%、まち歩き・都市散策30.2%、買い物・アウトレット29.1%、世界遺産・名所旧跡27.2%、花見や紅葉などの自然観照22.2%
- 観光地で満足したことについては、旅行地での飲食51.3%、現地での写真・ビデオ撮影50.8%、現地でのおもてなし50.8%、観光地での活動・アクティビティ50.8%、買い物46.6%、宿泊施設や滞在45.8%、分かりやすい移動42.3%
- 観光地でやってよかった行動については、花見・紅葉・雪景色など季節の風景を見る68%、日本式旅館に泊まる66.7%、農村風景や田園風景を見る66.1%、ローカルフードを食べる65.9%、海や山などの自然の景色を見る65.9%
以上、ざっくりと観光促進を考える上でベースとなる情報を紹介しました。ここから、奈良をケーススタディに、具体的にどのように観光振興を考えていくべきかを書いてみたいと思います。
4.観光振興させたい地域の特徴を把握する。
さて、上記のような観光に関する一般的な知識を抑えた上で、実際に観光振興による地域経済活性化を考えていくにあたり何を行うかですが、 まずは対象地域の観光資源に関する情報を抑える必要があるかと思います。それは、観光資源の開発、観光のためのインフラ整備等は即座にはできない時間のかかる作業であることから、今ある資源をどう活用していくかを検討することがまず重要と考えられるからです。
ということで、ここからは
奈良県を
ケーススタディに、まずは対象地域の観光資源・インフラの状況整理を行っていきたいと思います。
①観光資源の量と種類について
上記グラフより、奈良県は観光地として認識されているが、決して観光地点数が多いわけではないことがわかります。奈良県が有する観光資源は、歴史・文化施設が半数であり、観光客の7割が歴史・文化施設を訪れている。典型的な周遊観光型の観光地です。
奈良の観光のイメージは、世界遺産の保有数(国内16エリアのうち3エリアが奈良にあり、世界遺産数全国1位)や国宝・重要文化財の保有数(全国3位)によるところなのでしょうね。
②観光名所の位置
トリップアドバイザーHPより、観光名所の位置は下記のようになっているようです。
上図より、北西部に固まっていることがわかります。
③温泉地とアクティビティ地の分布状況
温泉地とアクティビティについては下記のような状況。
上図より、奈良には意外と温泉地があるように見えるけれど、温泉地として発展しているのは洞川温泉、十津川温泉の2地域のみであることがわかります。
④奈良県の交通インフラについて
奈良県へのアクセス状況、奈良県でのアクセス状況は下記のようになっています。
道路、鉄道ともに北西部(平野部)に集中していることがわかります。隣接府県への延伸状況を見ると大阪・京都との結びつきの強さが伺えますね。
また、北西部(平野部)以外のエリアでの観光は、アクセス面が厳しいためなかなか難しいことも伺えます。
⑤エリアごとの年間観光客数
奈良県HPより、各エリアごとの観光客数は下記のようになっております。
⑥奈良県の宿泊状況について(観光庁 宿泊旅行統計調査(H25概要)より)
- 延べ宿泊者数 ワースト2位 248万人泊
- 外国人延べ宿泊者数 23位 16万人泊
- 客室稼働率 ワースト8位 45%
- タイプ別稼働率
旅館 25.8%(41位)(全国平均 33.4%)
リゾートホテル 55.4%(12位)(全国平均 52.3%)
ビジネスホテル 68.6%(13位)(全国平均 69.5%)
シティホテル 74.9%(9位)(全国平均 75.7%)
会社・団体等の宿泊所 33.9%(13位)(全国平均 30.4%)
- 奈良県国籍(出身地)別外国人延べ宿泊者構成比
中国20% 欧州(ロシア、ドイツ、フランス、イギリス等)13% 台湾13% アメリカ12% 韓国7%
- 全国国籍別構成比
台湾19.8% 中国13.3% 韓国12.1% アメリカ9.3% 香港8.2%
タイプ別稼働率より、旅館が圧倒的に稼働率が低いことがわかります。これはおそらくですが、近代以前の徒歩・河川交通が主だった時代、寺社を参拝するため旅をしていた人々を対象として栄えた宿場(旅館)が、交通手段と宿泊施設成否条件が大きく変わった現代においても多数残っていることに起因するのではないかと予想されます。
いずれにしても、宿泊状況が悪いのは周知のとおりですね。
5.観光客の声に耳を傾ける。
さて、観光資源の状況を踏まえたところで、最後にお客さんとなる世間の方々から奈良県はどのような印象をもたれているのかを押さえに行きましょう。これを押さえることで、奈良県が今何に強みを持っているかがわかってきます。
①どこに住む人が観光に来ているか
どのような人が奈良に観光しに来ているかというと、下記の通り。
◯奈良への総観光客数に占める各県からの観光客数(日本人)
- 日帰り客:大阪38.2%、奈良県20.9%、兵庫県8.3%、京都6.5%、愛知4.4%、三重4.3%、和歌山3.5%
- 宿泊客:東京16.3%、神奈川9.3%、愛知8.2%、大阪7%、兵庫4.9%、静岡4.4%、埼玉・千葉3.5%
◯奈良県での日帰りと宿泊の比率:宿泊2182千人回、日帰り17666千人回
◯奈良県での観光消費額:日帰り4009円、宿泊26577円
〇奈良の訪問客数(外国人)
- 台湾124千、韓国76千、中国67千、米国30千、タイ28千
〇訪日している各国の人数に占める奈良訪問率
- フランス人8.3%、タイ・ドイツ6.2%、台湾・ロシア5.6%
〇奈良での宿泊率(国別の奈良宿泊者数/奈良訪問者数で算出)
- 英国34.9%、フランス34.8%、シンガポール28%、インド26.5%、米国26.3%
②なぜ、訪問先として選ばれているか
◯旅行先の都道府県決める理由
- 特定の観光地・観光スポットに興味があったから 10位73.7%(前年は1位で82.7%)(1位から島根、三重、長崎、沖縄、千葉、鹿児島、広島、鳥取、京都)
③どんなところに魅力を感じているか
◯首都圏在住者から見た奈良県の魅力(複数回答可)
(一般財団法人 南都経済研究所HP:「観光地奈良におけるリピーター獲得の方策を考える」、http://www.nantoeri.or.jp/index.html)
- 歴史・文化 85.6%
- 建造物 42.7%
- 名所・史跡 33.2%
- 静けさ・落ち着き 30.3%
- 風情・趣 28.4%
- 伝統 28.0%
- 自然 19.0%
- まちなみ 15.6%
◯奈良の魅力(複数回答可)
(一般社団法人 奈良県中小企業診断士会HP:「(平成16年度)奈良県観光の実態調査」、http://www.nara-shindanshi.jp/)
- 古社寺史跡が多い 940人81.8%
- 文化的香りがする 501人43.6%
- 自然環境が良い 482人41.9%
- 独特の雰囲気がある 464人40.4%
- 素朴な雰囲気 347人30.2%
- 静けさ 259人22.5%
- 町並みが素晴らしい 204人17.8%
◯地域の魅力ランキング(じゃらん)
- 大人が楽しめるスポットや施設・体験が多かった 10位44.4(前年4位)
(1位から順に千葉、京都、沖縄、長崎、三重、島根(出雲大社)、広島、神奈川、大阪)
- 現地でいい観光情報を入手できた 7位(前年3位)
(1位から順に沖縄、京都、青森、鹿児島、高知、宮崎、奈良、島根、北海道、広島)
観光客から見た奈良の魅力は、やはり歴史・文化的な観点がメインのようですが、その他にも静けさであったり、自然環境を良い点に上げる人がいるようです。また、現地でいい観光情報を入手できたことについて好評価を得ているのは、地域の観光地としての認識の高さからではないかと推察されます。
6.地域の観光振興の方向性について分析する。
さて、以上色々とデータを抑えたところで、地域の観光振興の方針について考えてみたいと思います。
①地域のメイン商品は何か。
まず、人々が地域に来てくれる一番の目的ですが、奈良においては平野部に点在する歴史・文化施設、具体的には神社仏閣、それも特定の神社仏閣(東大寺、春日大社、法隆寺、明日香地域、橿原神宮)を目的に訪れていると考えられます。
ネット上の掲示板を見て回ると、神社仏閣巡り好きの人は、
- 歴史が学べること
- 宗教・哲学的知識が学べること
- 歴史的建築物・風景・町並みが見られること
- 日本の伝統的自然景観を見られること
- 静けさの中に身を置けること
などに価値を見出して神社仏閣巡りを行っているようです。これは、上述している奈良の魅力とも合致している点であり、奈良県が観光振興の際に保全・充実していかねばならない商品なのだと考えられます。
②メイン商品を軸に、どのように時間を過ごして(消費して)もらうか。
そして、まず時間の過ごし方についてですが、大きく「日帰り観光」と「宿泊観光」に分類することができます。このうち宿泊観光は、現状の奈良県では検討どうこうはなかなか難しいと考えられます。
主な理由としては、宿泊地としての立地に有利である属性(温泉地、レクリエーション地、交通結節点×繁華街)を保有していないことが挙げられます。
そのため、宿泊を促すために頑張っていくというよりかは、基本的には「日帰り観光を充実させていく」という方向性の延長線上で宿泊を考えるべきではないかと考えられます。
つまり、日帰り観光地としての地理的利点を活かして(京都・大阪から1時間かからず訪れられる周遊型観光地)、日帰り観光での観光コンテンツの充実を図り、滞在時間の長時間化、客単価の上昇を目指す。そして、コンテンツの充実が進むにつれて、「じゃあ一泊してもうちょっと回ろうか」という気持ちを誘起させていく。
では、具体的にどのように日帰り観光の充実を図るかについてですが、基本的には、奈良のメイン商品である神社仏閣(東大寺・春日大社・法隆寺・明日香・橿原神宮を軸とした)巡りの利便性を高めるとともに、その合間に楽しむ他のコンテンツと連携を図ることだと考えられます。他のコンテンツとしては、主に昼食、喫茶・スイーツ、直売所・道の駅・お土産屋が考えられますが、特に神社仏閣巡りでのテンション(歴史・文化的なものを楽しむテンション)にマッチした形での提供が求められると考えられます。(まさに奈良町がこれ。)
さらに、酒造巡り、体験型観光、桜・紅葉などの自然観賞、歴史・自然を感じるハイキングなど、他のコンテンツとの連携も図っていくと。
肝は、神社仏閣巡りに付随するコンテンツの情報の発信について、いかにメインコンテンツとセットでPRできるかだと考えられます。なぜなら、観光客の訪問が見込めて初めて、そこへの交通インフラの拡充、そこコンテンツの利便性向上等が進むと考えられるからです。
すごく当たり前の路線ですが、奈良の魅力である歴史・文化資源を活用しつつ、立地の良さを活かす(大阪・京都から近い)には、主要な歴史・文化施設の魅力を維持・向上させつつ、その観光資源周辺に付随するコンテツと併せてPRしていくことで、コンテンツを育てて、多様性を生み出し、観光産業の拡大や宿泊者数の向上を図っていく、という方針がベターなのかなと考えられます。
(その他、豊かな自然と南部の温泉を軸に、県内及び和歌山、三重、大阪、京都の一部の人々をターゲットとして、自然を活用したレクリエーションという方向性もありうると思いますが、今回は割愛で。)
7.まとめ
以上、ざくっと検討プロセスまとめると、
- 観光資源の開発は短期的にできることではないので、まずは、自地域に存在する資源の状況を把握する。
- 次に、観光客の声に耳を傾ける。
- そして、自地域の資源をどう活用すればよいかを考える。
という作業を、データを拾いながらやっていく作業が大事と考えられます。
今回の記事の中では、地域・文化を商品化する是非であるとか、観光業と地元住民との対立等、観光振興にあたり考えるべきテーマは扱わず、経済的側面での活性化だけを取り上げましたが、観光は非常に分野が多岐にわたるテーマですので、今後も継続して記事として取り上げていければと思います。
ではまた。