asiyutaの日記

知識・経験・思考のまとめ

地域活性化事業が最低限目指すべきレベルとは

お久しぶりです。asiyutaです。

 

企業誘致、ふるさと納税、プレミアム商品券、ゆるキャラ、祭り、B級グルメイベント、イルミネーション、道の駅等々…多種多様な地域活性化の取組を目にすることと思いますが、これらの取組って、本当に地域活性化に繋がっているのだろうか…と思ったことがある人もいるのではないでしょうか。

 

また、昨今の地方創生の動きの中で、地域活性化の取組を目にする機会はますます増えてくるのではないかと予想されます。

 

そこで今日は、地域活性化の取組を評価する視点について書きたいと思います。

 

1.一にも二にも金。/まずは取組自体に採算性を。

早速身も蓋もない話になってしまいますが、基本は「金」です。取組にかけた投資額に対し、地域にどれだけのリターン、波及効果があったのか。基本はそれです。

 

この主張の主な背景としては、採算度外視で行い、税金で赤字補填している事業があまりにも散見されることと、少子高齢化の進行により社会保障費が増大するにつれて、税金をアテにすることが難しくなると予想されることがあります。

 

つまり、どれだけ地域住民にとって良い取組であっても、採算度外視なものは実施が困難になるということです。まずは採算がとれた上で初めて話が始まるという状況です。

 

ここで、「採算がとれた取組ってどういうこと?」と思われた方もいるかもしれませんが、例えばB級グルメイベントを開催するなら、開催にかかる費用を出店料・広告料・入場料・駐車場代等々で賄い、赤字を出さない、もしくは初年度は赤字を税金で補填したとしても次年度以降は黒字化を図る、というようなイメージです。

 

「イベントを目当てに地域に人がたくさん来るからイベント自体は赤字でもいい」みたいな主張を目にすることもありますが、その主張が許されるのは税金が潤沢にある時代のみであり、これからの時代はイベント自体も黒字、地域としても黒字を目指さなければならない、というかそのような取組以外実施が困難になるだろうというわけです。

 

まとめ

「取組自体が採算とれているかどうかをまずは見よう。」

 

2.効果的な取組とは。/地域に資金を入れ、循環させ、外に逃さない。

次に、効果的な取組とはどのような取組かについて書きたいと思いますが、その前に地域活性化の取組とはどのようなものか再確認しておくと、

地域おこし - Wikipediaより)

  1. 産業の創出や立てなおし。経済的な建て直し。雇用の創出や維持。
  2. 若者の人口流出の歯止め・回復。新規住民の呼び込み。子供のいる家族の呼び込み。
  3. 地域文化の担い手の確保と継承。

というような取組のことです。

そして、上記の2,3については、1の立て直しが必須になると考えられます。2については、仕事がないところ・産業がなく不便なところから人が流出するのは当然であり、3については、経済的余力があって初めて文化等の儲かりにくい業界を手厚く守ることが可能となるからです。

つまり、地域活性化の取組としては、1の経済活動に関するものが非常に重要になると考えられます。

 

では、1の中でもどのような取組が効果的なのでしょうか。考えるにあたって「まちづくり構造改革(中村良平著、日本加除出版)」に示される「地域経済構造分析」という考え方が非常に参考になります。

 

ここで地域経済構造分析とは、「地域(まち)が、その地域にある比較優位な資源を見出して、それを有効に活用した財・サービスを生み出し、それを域外に移出することで地域内に資金を呼び込み、その獲得したマネーを域内で循環させることによって域内での新たな需要と富の再分配が生まれる」といった「地域経済の循環システム」に基本をおいた「持続可能な地域(まちの経済)」を探求するためのアプローチのことです。

 

もう少し噛み砕いて言うと、

1.地域外から資金を稼ぐ。

 モノやサービスを地域外に販売したり、域内の人が域外に通勤して資金を稼いできたり(出稼ぎをイメージ)、域外から人がやってきて域内で消費してくれたりして、地域外から資金を獲得する。

 

2.地域内で資金を循環させる。

 域外から稼いだ資金をもとに、域内に住む人が域内で消費したり、地元資本の企業が域内で新規出店したりすることで、地域内の企業、ひいては地域住民に資金を行き渡らせる一方で、地域内の市場をさらに発展させ、その市場を相手にした事業で人が雇用され、彼らがさらに域内に消費を生み出すという好循環を生みだす。

 

3.地域外への資金の漏れだしを防ぐ。

 モノやサービスを作る材料を可能な限り域内で賄ったり、設備のメンテンス費用等の域外の業者に支払っていた無駄なコストを極限まで絞ったりすることで、域外から稼いだり、域内で循環させたりするために使う資金をさらに確保し、好循環を加速させる。

 

という事業・取組を継続して行っていくことで、地域を活性化させていきましょう、というものです。

 

まとめ

地域活性化の取組が効果的かどうかは『地域外から資金を稼いでいるか』『地域内で資金を循環させているか』『地域外への資金の漏れ出しを防いでいるか』を見ることで判断しよう。」

 

ーー

 

以上、簡単ではありますが、地域活性化の取組を評価する2つ視点について書かせていただきました。この見方で、これからやってくる(すぐ過ぎ去るかもですが)であろう地方創生に関わるたくさんの取組を冷静に見ていただければと思います。

 

それではまたノシ

   

<参考文献>
まちづくり構造改革―地域経済構造をデザインする

まちづくり構造改革―地域経済構造をデザインする

 

 まちの経済構造を立体的に見る方法が学べる。

  

経済的に持続可能なまちに変えていく実践的な方法が学べる。