まちづくり関係おすすめ本10冊(地域経済活性化中心)

超絶久々更新ですね。どうもasiyutaです。
 
この3年くらい、まちづくり関係の本を100冊くらい?読み漁ってきたのですが、その中でお勧めしたい本を10冊に絞ってご紹介したいと思います。
 
 
 
■asiyutaのまちづくり関係おすすめ本10冊(地域経済活性化中心)
①ゼロから学ぶ経済政策/飯田 泰之
経済政策を基本のキから学べる本。
まちづくりとは直接的には関係ないけど、まちづくりに関わるマクロな経済政策の状況を理解するには必要かと。 
②発展する地域 衰退する地域/ジェイン ジェイコブズ
外資本の企業誘致が地域再生において機能せず、地域資本による多様な経済構成を持つ地域が発展していくということを書いている本。まちづくり界隈の古典の1つ(という認識。)
発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学 (ちくま学芸文庫)

発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学 (ちくま学芸文庫)

 

 

都心回帰の経済学/八田 達夫
都市化がなぜ進むのかの経済的分析をしている本。
都市化が進むこの時代にこそ、きちんと理解しておきたい本。
④まちづくり構造改革/中村良平
地域経済の活性化とは何かがわかる本。
地域活性化を志すならば必ず読んで概念を理解するべき本。
まちづくり構造改革―地域経済構造をデザインする

まちづくり構造改革―地域経済構造をデザインする

 

 

⑤稼ぐまちが地方を変える/木下 斉 
民間で地域経済を活性化させ、地域をよくしていく実践方法を説いた本。
民間からまちづくりにとりくむってこういうことかと、目から鱗が落ちます。
著者の木下さん縛りで他の本・記事・メルマガ等々を読むことも、民間主導のまちづくりを知る上で大変お勧めです。
稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書)

稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書)

 

 

⑥本当に住んで幸せな街 全国「官能都市」ランキング/島原万丈+HOME'S総研
タイトル「官能都市」から「いかがわしい」雰囲気を感じますが(笑)、これまでの画一的な街の評価方法(病床数などの無機質な評価指標)を脱し、五感で街を感じて評価する方法を提示した本。本当に豊かに楽しく生活できる街とはどのような街なのか、そ街をそのような方向性に持っていくためのKPIとしてどのような指標がありうるのかを考えるきっかけとなる、非常に示唆に富む本でした。
本当に住んで幸せな街 全国「官能都市」ランキング (光文社新書)

本当に住んで幸せな街 全国「官能都市」ランキング (光文社新書)

 

 

⑦RePUBLIC 公共空間のリノベーション/馬場 正尊,Open A
公共空間をよりよくしていくため方法について、事例と合わせて学んでいける本。
行政として、どういう動きを起こしていけばよいかがわかる。
RePUBLIC 公共空間のリノベーション

RePUBLIC 公共空間のリノベーション

 

 

⑧新・観光立国論/デービッド・アトキンソン 
観光戦略を具体的にどう考えればよいかを説いた本。
観光を語るなら、読むべき必読書。
私はこの本を読んでマネタイズの意識が非常に高まりました。
⑨撤退の農村計画/林 直樹
建設的に、過疎地域の人々がそこに住み続けることによって不幸せにならないように、戦略的に撤退するにはどういう視点が必要かをまとめた本。
こういう論調で書いている人があまりいないから、すごく貴重な提言。
撤退の農村計画―過疎地域からはじまる戦略的再編

撤退の農村計画―過疎地域からはじまる戦略的再編

 

 

➉クオリティ国家という戦略/大前研一
農林漁業→工業国ときて、次の戦略が見えない日本(都市)において、次の戦略としてクオリティ国家戦略(世界中からの投資を呼び込み、高付加価値の仕事を中心に経済発展していく戦略)を説く本。
日本の各都市が目指す方向性の1つがわかる。
クオリティ国家という戦略 これが日本の生きる道

クオリティ国家という戦略 これが日本の生きる道

 

 

うーん、10冊に絞るのって難しい!!かなり迷った本もありますが、一旦はこんな感じでまとめてみました。

気になった本が1冊でもあれば幸いです…

 

ではまた!

その取組、地域活性化に繋がっていますか?〜地域活性化の視点〜

お久しぶりです。asiyutaです。

 

企業誘致、ふるさと納税、プレミアム商品券、ゆるキャラ、祭り、B級グルメイベント、イルミネーション、道の駅等々…多種多様な地域活性化の取組を目にすることと思いますが、これらの取組って、本当に地域活性化に繋がっているのだろうか…と思ったことがある人もいるのではないでしょうか。

 

また、昨今の地方創生の動きの中で、地域活性化の取組を目にする機会はますます増えてくるのではないかと予想されます。

 

そこで今日は、地域活性化の取組を評価する視点について書きたいと思います。

 

1.一にも二にも金。/まずは取組自体に採算性を。

早速身も蓋もない話になってしまいますが、基本は「金」です。取組にかけた投資額に対し、地域にどれだけのリターン、波及効果があったのか。基本はそれです。

 

この主張の主な背景としては、採算度外視で行い、税金で赤字補填している事業があまりにも散見されることと、少子高齢化の進行により社会保障費が増大するにつれて、税金をアテにすることが難しくなると予想されることがあります。

 

つまり、どれだけ地域住民にとって良い取組であっても、採算度外視なものは実施が困難になるということです。まずは採算がとれた上で初めて話が始まるという状況です。

 

ここで、「採算がとれた取組ってどういうこと?」と思われた方もいるかもしれませんが、例えばB級グルメイベントを開催するなら、開催にかかる費用を出店料・広告料・入場料・駐車場代等々で賄い、赤字を出さない、もしくは初年度は赤字を税金で補填したとしても次年度以降は黒字化を図る、というようなイメージです。

 

「イベントを目当てに地域に人がたくさん来るからイベント自体は赤字でもいい」みたいな主張を目にすることもありますが、その主張が許されるのは税金が潤沢にある時代のみであり、これからの時代はイベント自体も黒字、地域としても黒字を目指さなければならない、というかそのような取組以外実施が困難になるだろうというわけです。

 

まとめ

「取組自体が採算とれているかどうかをまずは見よう。」

 

2.効果的な取組とは。/地域に資金を入れ、循環させ、外に逃さない。

次に、効果的な取組とはどのような取組かについて書きたいと思いますが、その前に地域活性化の取組とはどのようなものか再確認しておくと、

地域おこし - Wikipediaより)

  1. 産業の創出や立てなおし。経済的な建て直し。雇用の創出や維持。
  2. 若者の人口流出の歯止め・回復。新規住民の呼び込み。子供のいる家族の呼び込み。
  3. 地域文化の担い手の確保と継承。

というような取組のことです。

そして、上記の2,3については、1の立て直しが必須になると考えられます。2については、仕事がないところ・産業がなく不便なところから人が流出するのは当然であり、3については、経済的余力があって初めて文化等の儲かりにくい業界を手厚く守ることが可能となるからです。

つまり、地域活性化の取組としては、1の経済活動に関するものが非常に重要になると考えられます。

 

では、1の中でもどのような取組が効果的なのでしょうか。考えるにあたって「まちづくり構造改革(中村良平著、日本加除出版)」に示される「地域経済構造分析」という考え方が非常に参考になります。

 

ここで地域経済構造分析とは、「地域(まち)が、その地域にある比較優位な資源を見出して、それを有効に活用した財・サービスを生み出し、それを域外に移出することで地域内に資金を呼び込み、その獲得したマネーを域内で循環させることによって域内での新たな需要と富の再分配が生まれる」といった「地域経済の循環システム」に基本をおいた「持続可能な地域(まちの経済)」を探求するためのアプローチのことです。

 

もう少し噛み砕いて言うと、

1.地域外から資金を稼ぐ。

 モノやサービスを地域外に販売したり、域内の人が域外に通勤して資金を稼いできたり(出稼ぎをイメージ)、域外から人がやってきて域内で消費してくれたりして、地域外から資金を獲得する。

 

2.地域内で資金を循環させる。

 域外から稼いだ資金をもとに、域内に住む人が域内で消費したり、地元資本の企業が域内で新規出店したりすることで、地域内の企業、ひいては地域住民に資金を行き渡らせる一方で、地域内の市場をさらに発展させ、その市場を相手にした事業で人が雇用され、彼らがさらに域内に消費を生み出すという好循環を生みだす。

 

3.地域外への資金の漏れだしを防ぐ。

 モノやサービスを作る材料を可能な限り域内で賄ったり、設備のメンテンス費用等の域外の業者に支払っていた無駄なコストを極限まで絞ったりすることで、域外から稼いだり、域内で循環させたりするために使う資金をさらに確保し、好循環を加速させる。

 

という事業・取組を継続して行っていくことで、地域を活性化させていきましょう、というものです。

 

まとめ

地域活性化の取組が効果的かどうかは『地域外から資金を稼いでいるか』『地域内で資金を循環させているか』『地域外への資金の漏れ出しを防いでいるか』を見ることで判断しよう。」

 

ーー

 

以上、簡単ではありますが、地域活性化の取組を評価する2つ視点について書かせていただきました。この見方で、これからやってくる(すぐ過ぎ去るかもですが)であろう地方創生に関わるたくさんの取組を冷静に見ていただければと思います。

 

それではまたノシ

   

<参考文献>
まちづくり構造改革―地域経済構造をデザインする

まちづくり構造改革―地域経済構造をデザインする

 

 まちの経済構造を立体的に見る方法が学べる。

  

経済的に持続可能なまちに変えていく実践的な方法が学べる。 

観光振興による地域活性化の方針の立て方(奈良県を事例に)

地元に観光資源はあるんだけど、あんまりうまく活用できていないなぁ…みたいな地域に住んでらっしゃる方は意外と多いのではないでしょうか。
 
かくいう私も、そんな土地(奈良県)を地元にもつ一人で。今日は、観光振興による地域経済活性化の方針の考え方に書いてみたいと思います。
 

1.そもそも、観光振興の効果とは何だろう。

観光振興のもつ効果は、主に下記の3つと言われています。
 
(1)経済的効果
 まず、当然ながら観光産業により雇用が創出され、観光客がお金を落とすことで、地域住民は所得を得て豊かになるし、自治体は税収を得て豊かになります。
 また、観光産業における経済効果は、その特徴のため、一般的な産業よりも地域経済への波及効果は大きい傾向があります。
(観光産業の特徴)
・観光消費は様々な業種に波及すること。旅行者は移動し、一時的であるがそこ生活するため、消費は宿泊業、土産品業、飲食業のみならず、スーパー、コンビニ、タバコ店、薬局店などへ波及する。
・観光産業は、他産業から製品・産品の供給を仰ぐため、観光産業の売り上げが増大すると、他産業の売り上げも上がる。
・観光産業の域内自給率が高い。
・観光産業は労働集約的であるため雇用効果が大きい。
 
(2)地域住民の刺激・自信
 次に、域外から人が来て、交流し、情報をもたらしてくれることで、地域住民は刺激を得ることができますし、外部の人から認知してもらえることで、地域住民の自信につながります。
 
(3)相互理解の増進
 そして、あまり国内観光では意識されませんが、観光地に訪れ、違う地域の人々が交わることによって、地域同士(国同士)の相互理解の増進が期待できます。これは、国外においてはもちろん、国内観光においても、例えば地方と都市部の相互理解増進による政策への理解の深まり等、重要な役割を果たしていると考えられます。
 
 ざっと、このような効果が期待できます。
 
 

2.観光学における観光地の分類を押さえる。

ということで、本題のどうやって観光振興していくかについてですが、まず軸となるのは、その地域がどんな観光地であるかを把握することだと考えられます。
 
一般的に観光地と言われている地域は3つに分類することができます。
(1)狭義の観光地
 狭義の観光地とは、見る・学ぶ目的で訪れる場所であり、例としては、まちなみ観光地、都市観光地、寺社観光地、自然風景地等が挙げられます。
 そこでは、観光客は「周遊型観光」を行います。つまり、ある観光スポットまで移動し、そのスポットを見て回り、また次の観光スポットまで移動するという行動形態をとります。そのため、観光地での滞在時間短く、経済効果は少なくなります。
 一方、狭義の観光地に存在する観光資源は代替性が低く、家の近所にあるような資源でないため、わざわざ遠出して見に行く価値を有しているため、誘致圏は大きいと考えられます。もちろん、その誘致圏は、観光資源の魅力度によって左右されますが。
 この狭義の観光地での活性化の戦略としては、まず、観光資源を良好な状態に保つこと、次に、滞在時間を増すために昼食・休憩の場を用意すること、そののち宿泊施設を用意して宿泊地としての体裁を整えていく流れが考えられます。また、自然風景地については、景観の破壊をせず、静的・動的の両面から景観の見せ方を検討することも重要です。
 
(2)レクリエーション地
 レクリエーション地とは、レクリエーション活動する場所であり、例としては、スキー場、海水浴場、農山村地等が挙げられます。観光客は、居住エリアからレクリエーション地に移動し、その地に滞在してレクリエーション活動を楽しんだ後、居住エリアに帰るというピストン型の行動をとることが多いです。滞在が期待できるため、レクリエーション地の経済効果は一般的には大きくなります。
 一方、レクリエーション地は、人工的に開発された場所であることが多く、資源の代替性が高いため誘致圏は狭い傾向があります。そのため、市場となりうる都市部との近接性(アクセスの良さ)が、レクリエーション地の成立条件となります。
 発展の戦略としては、まずは魅力的なレクリエーション活動を用意すること、次にレクリエーションを楽しむための拠点となる宿泊地を用意すること、そして天候に左右されないように観光施設を作り、観光地としての魅力を付加することが考えられます。
 
(3)宿泊地
 宿泊地とは、観光客が宿泊する場所であり、日本の場合、主に温泉地が該当します。観光客はそこに宿泊だけを目的に訪れることもあれば、他の目的を充実させるための手段としてそこに訪れることもあります。また、旅行者の滞在時間が長く、消費も大きいことから、地域経済効果は最も大きくなります。
 また、誘致圏については、観光ルート上に位置したり、レクリエーション地に併存するときは、観光地とレクリエーション地との誘致力に左右され、一方、単独で成立しているときは、レクリエーション地と同様のピストン型となり、市場との距離が重要になってきます。
 発展の戦略としては、レクリエーション施設(テニスコート、ゴルフ場、スキー場等)を作り、魅力を創出して滞在時間を増やしていくことが考えられます。
 
以上が、観光学における観光地の3分類です。まずは、教科書的な知識として、この3分類を頭に入れておく必要があるかなと思います。
 

3.その他の観光客の動態を把握する。

また、観光客の動態として、じゃらんリサーチセンターの調査結果より下記のようなことが知られています。このへんは抑えておいたほうがいいのではないでしょうか、ということでざっくり紹介します。
 
①旅に出る主な理由の分類
 人が旅に出る理由は、主に下記の7タイプに分類できるようです。
  1. 彼女に誘われたから旅に出るタイプ。彼女との関係を充実させたいという欲求を持っている。
  2. 家族の記念日を充実させるために旅に出るタイプ。女性30〜40代の既婚子あり層に多い。楽しい体験をしたい、季節感を感じたいという欲求を持っている。
  3. いろいろ見ておいて見識を深めたいから旅に出るタイプ。女性のシニア層に多い。
  4. 恋人とイチャイチャするために旅に出るタイプ。男女20代の未婚層が多い。
  5. アクティブで楽しいこと大好きタイプ。男女20代がやや多めで、話題作り等の欲求を持っている。
  6. ゆっくりするために旅に出るタイプ。男女50代以上に多く、温泉、季節を感じることに対して欲求がある。
  7. 自分探しのために旅に出るタイプ。

 

②旅行先の都道府県を決める理由

 次のような理由で旅行先を決める人が多いようです。

  1. 特定のイベントやアクティビティに興味があったから(千葉、沖縄、大阪、三重、福岡などが該当)
  2. テレビや雑誌などで話題になっていた(島根、三重、長崎、千葉、沖縄などが該当)
  3. 特定の観光地・観光スポットに興味があった(島根、三重、長崎、沖縄、千葉などが該当)
  4. そこならではの食、特産品に興味があった(北海道、香川、高知、沖縄、富山などが該当)
  5. 良い宿、ホテルがあった(群馬、静岡、大分、栃木、長野などが該当)
  6. 魅力的な温泉があった(大分、群馬、岐阜、栃木、愛媛などが該当)

 

③旅行メンバーの形態

 以下のようなメンバーで旅行をするようです。

  ◯20~34男:一人旅26.1%、恋人18.9%、友人18.7%

  ◯20~34女:友人19%、恋人17.6%、夫婦二人14.5%

  →気ままに一人、友人、恋人と旅していることがわかります。

 

  ◯35~49男:小学生以下子連れ家族28%、一人21.9%、夫婦二人14.5%

  ◯35~49女:小学生以下子連れ家族30.8%、夫婦二人17.1%、親連れ家族11.4%

  →子連れで旅行していることがわかります。

 

  ◯50~79男:夫婦二人38.2%、一人17.7%、友人10.7%

  ◯50~79女:夫婦二人31.2%、その他家族旅行17.7%、友人17.2%

  →熟年夫婦で旅行していることがわかります。

 

④旅行先での行動と消費額

 旅行先で行う主な内容とその消費額は以下のようになるようです。

  • 昼食57% (1480円)
  • 観光施設に行く・遊ぶ45.1%(3070円)
  • 直売所・道の駅・お土産屋で買い物53.2% (5830円)
  • 夕食40.7%(2980円)
  • 喫茶・スイーツを食べる22.8%(970円)
  • 朝食21.9%(860円)

 

⑤リピーターの特徴

 リピーターになりやすい人、リピーターと非リピーターの行動特性の差は次のようです。

  • 観光地から居住地が近い人の方がリピート率が高い
    (再訪率:同地区47.2%、隣接37%、遠距離31.4%)
  • 初回訪問が18~24歳で、一人旅or家族旅行で訪問している人がリピーターになりやすい。
  • リピーターは、非リピーターよりも、喫茶・スイーツの飲食、専門店や百貨店での買い物、友人・知人の訪問をより楽しむ。
  • リピーターは、非リピーターよりも、名所・旧跡の観光、自然鑑賞、同行者との会話をより楽しまない。
  • リピーターの方がいっぱいクチコミしてくれる
  • リピーターの主なクチコミ内容は地元の食37.6%、自然の景色28.4%、宿・ホテル27.5%、温泉22.3%、郷土料理・ご当地グルメ21.3%
  • 非リピーターの主なクチコミ内容は、自然の景色38.6%、地元の職35.8%、名所・旧跡31.1%、宿・ホテル24.3%、温泉23.7%
  • リピーターは、非リピーターよりも、地元のお土産・買い物スポット、地元のスイーツやお菓子、専門店や百貨店で買い物について口コミを行う一方、名所・旧跡、自然の景色、歴史を感じるまちなみ散策について口コミを行わない。
  • リピート理由はもう一度体験したいから、もっと上手にできるようになりたいから、現地で面白い情報を手に入れたからなど。

 

⑥海外(ASEAN3か国(シンガポール、タイ、マレーシア))地域の観光客動態

  シンガポール、タイ、マレーシアの人々は、次のような動態を示すようです。

  • 日本に旅行したいと思ったきっかけは、日本の食事56.7%、日本の自然・風景55.9%、日本のライフスタイル47.9%、日本の伝統的な文化44%、日本のファッション34.6%
  • 旅行を検討する際に比較した国は、韓国34.1%、中国20%、台湾18.5%、香港・マカオ13.2%、シンガポール9.1%
  • 比較検討した際の日本の魅力は、魅力的な観光コンテンツ61.1%、休暇の季節と旅行内容の合性41.6%、滞在期間がちょうどよい39.8%、価格がちょうどよい37.8%、話題・流行36.7%
  • 日本のある観光地に訪問した目的は、美味しい食事37.2%、まち歩き・都市散策30.2%、買い物・アウトレット29.1%、世界遺産・名所旧跡27.2%、花見や紅葉などの自然観照22.2%
  • 観光地で満足したことについては、旅行地での飲食51.3%、現地での写真・ビデオ撮影50.8%、現地でのおもてなし50.8%、観光地での活動・アクティビティ50.8%、買い物46.6%、宿泊施設や滞在45.8%、分かりやすい移動42.3%
  • 観光地でやってよかった行動については、花見・紅葉・雪景色など季節の風景を見る68%、日本式旅館に泊まる66.7%、農村風景や田園風景を見る66.1%、ローカルフードを食べる65.9%、海や山などの自然の景色を見る65.9%

 

以上、ざっくりと観光促進を考える上でベースとなる情報を紹介しました。ここから、奈良をケーススタディに、具体的にどのように観光振興を考えていくべきかを書いてみたいと思います。

 

4.観光振興させたい地域の特徴を把握する。

 さて、上記のような観光に関する一般的な知識を抑えた上で、実際に観光振興による地域経済活性化を考えていくにあたり何を行うかですが、 まずは対象地域の観光資源に関する情報を抑える必要があるかと思います。それは、観光資源の開発、観光のためのインフラ整備等は即座にはできない時間のかかる作業であることから、今ある資源をどう活用していくかを検討することがまず重要と考えられるからです。
 
ということで、ここからは奈良県ケーススタディに、まずは対象地域の観光資源・インフラの状況整理を行っていきたいと思います。
 
①観光資源の量と種類について
 地域にどのような観光資源があるかについて、観光庁の統計よりおおまかに把握が可能です。(http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/irikomi.html
 
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 上記グラフより、奈良県は観光地として認識されているが、決して観光地点数が多いわけではないことがわかります。奈良県が有する観光資源は、歴史・文化施設が半数であり、観光客の7割が歴史・文化施設を訪れている。典型的な周遊観光型の観光地です。

 

奈良の観光のイメージは、世界遺産の保有数(国内16エリアのうち3エリアが奈良にあり、世界遺産数全国1位)や国宝・重要文化財の保有数(全国3位)によるところなのでしょうね。

 

②観光名所の位置

 トリップアドバイザーHPより、観光名所の位置は下記のようになっているようです。

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上図より、北西部に固まっていることがわかります。

 

③温泉地とアクティビティ地の分布状況

 温泉地とアクティビティについては下記のような状況。

 

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上図より、奈良には意外と温泉地があるように見えるけれど、温泉地として発展しているのは洞川温泉十津川温泉の2地域のみであることがわかります。

 

 

奈良県の交通インフラについて

 奈良県へのアクセス状況、奈良県でのアクセス状況は下記のようになっています。

 

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道路、鉄道ともに北西部(平野部)に集中していることがわかります。隣接府県への延伸状況を見ると大阪・京都との結びつきの強さが伺えますね。

また、北西部(平野部)以外のエリアでの観光は、アクセス面が厳しいためなかなか難しいことも伺えます。

   

⑤エリアごとの年間観光客数

 奈良県HPより、各エリアごとの観光客数は下記のようになっております。

 

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奈良県の宿泊状況について(観光庁 宿泊旅行統計調査(H25概要)より)
  • 延べ宿泊者数 ワースト2位 248万人泊
  • 外国人延べ宿泊者数 23位 16万人泊
  • 客室稼働率 ワースト8位 45%
  • タイプ別稼働率 
     旅館         25.8%(41位)(全国平均 33.4%)
     リゾートホテル    55.4%(12位)(全国平均 52.3%)
     ビジネスホテル    68.6%(13位)(全国平均 69.5%)
     シティホテル     74.9%(9位)(全国平均 75.7%)
     会社・団体等の宿泊所 33.9%(13位)(全国平均 30.4%)
  • 奈良県国籍(出身地)別外国人延べ宿泊者構成比
     中国20% 欧州(ロシア、ドイツ、フランス、イギリス等)13% 台湾13% アメリカ12% 韓国7%
  • 全国国籍別構成比
     台湾19.8% 中国13.3% 韓国12.1% アメリカ9.3% 香港8.2%

タイプ別稼働率より、旅館が圧倒的に稼働率が低いことがわかります。これはおそらくですが、近代以前の徒歩・河川交通が主だった時代、寺社を参拝するため旅をしていた人々を対象として栄えた宿場(旅館)が、交通手段と宿泊施設成否条件が大きく変わった現代においても多数残っていることに起因するのではないかと予想されます。

いずれにしても、宿泊状況が悪いのは周知のとおりですね。

 

5.観光客の声に耳を傾ける。

さて、観光資源の状況を踏まえたところで、最後にお客さんとなる世間の方々から奈良県はどのような印象をもたれているのかを押さえに行きましょう。これを押さえることで、奈良県が今何に強みを持っているかがわかってきます。 

 

①どこに住む人が観光に来ているか

どのような人が奈良に観光しに来ているかというと、下記の通り。

 

◯奈良への総観光客数に占める各県からの観光客数(日本人)

  • 日帰り客:大阪38.2%、奈良県20.9%、兵庫県8.3%、京都6.5%、愛知4.4%、三重4.3%、和歌山3.5%
  • 宿泊客:東京16.3%、神奈川9.3%、愛知8.2%、大阪7%、兵庫4.9%、静岡4.4%、埼玉・千葉3.5%

奈良県での日帰りと宿泊の比率:宿泊2182千人回、日帰り17666千人回
奈良県での観光消費額:日帰り4009円、宿泊26577円

 

〇奈良の訪問客数(外国人)

  • 台湾124千、韓国76千、中国67千、米国30千、タイ28千 

 

〇訪日している各国の人数に占める奈良訪問率

  • フランス人8.3%、タイ・ドイツ6.2%、台湾・ロシア5.6%

 

〇奈良での宿泊率(国別の奈良宿泊者数/奈良訪問者数で算出)

 

②なぜ、訪問先として選ばれているか

◯旅行先の都道府県決める理由

  • 特定の観光地・観光スポットに興味があったから 10位73.7%(前年は1位で82.7%)(1位から島根、三重、長崎、沖縄、千葉、鹿児島、広島、鳥取、京都)

 

③どんなところに魅力を感じているか 

◯首都圏在住者から見た奈良県の魅力(複数回答可)

一般財団法人 南都経済研究所HP:「観光地奈良におけるリピーター獲得の方策を考える」、http://www.nantoeri.or.jp/index.html

  • 歴史・文化    85.6%
  • 建造物      42.7%
  • 名所・史跡    33.2%
  • 静けさ・落ち着き 30.3%
  • 風情・趣     28.4%
  • 伝統       28.0%
  • 自然       19.0%
  • まちなみ     15.6%

 

◯奈良の魅力(複数回答可)

一般社団法人 奈良県中小企業診断士会HP:「(平成16年度)奈良県観光の実態調査」、http://www.nara-shindanshi.jp/

  • 古社寺史跡が多い  940人81.8%
  • 文化的香りがする  501人43.6%
  • 自然環境が良い   482人41.9%
  • 独特の雰囲気がある 464人40.4%
  • 素朴な雰囲気    347人30.2%
  • 静けさ       259人22.5%
  • 町並みが素晴らしい 204人17.8%

 

◯地域の魅力ランキング(じゃらん

  • 大人が楽しめるスポットや施設・体験が多かった 10位44.4(前年4位)
    (1位から順に千葉、京都、沖縄、長崎、三重、島根(出雲大社)、広島、神奈川、大阪)
  • 現地でいい観光情報を入手できた 7位(前年3位)
    (1位から順に沖縄、京都、青森、鹿児島、高知、宮崎、奈良、島根、北海道、広島)

 

観光客から見た奈良の魅力は、やはり歴史・文化的な観点がメインのようですが、その他にも静けさであったり、自然環境を良い点に上げる人がいるようです。また、現地でいい観光情報を入手できたことについて好評価を得ているのは、地域の観光地としての認識の高さからではないかと推察されます。 

 

6.地域の観光振興の方向性について分析する。

 さて、以上色々とデータを抑えたところで、地域の観光振興の方針について考えてみたいと思います。

 

①地域のメイン商品は何か。

まず、人々が地域に来てくれる一番の目的ですが、奈良においては平野部に点在する歴史・文化施設、具体的には神社仏閣、それも特定の神社仏閣(東大寺春日大社法隆寺、明日香地域、橿原神宮)を目的に訪れていると考えられます。

 

ネット上の掲示板を見て回ると、神社仏閣巡り好きの人は、

  • 歴史が学べること
  • 宗教・哲学的知識が学べること
  • 歴史的建築物・風景・町並みが見られること
  • 日本の伝統的自然景観を見られること
  • 静けさの中に身を置けること

などに価値を見出して神社仏閣巡りを行っているようです。これは、上述している奈良の魅力とも合致している点であり、奈良県が観光振興の際に保全・充実していかねばならない商品なのだと考えられます。

 

②メイン商品を軸に、どのように時間を過ごして(消費して)もらうか。

そして、まず時間の過ごし方についてですが、大きく「日帰り観光」と「宿泊観光」に分類することができます。このうち宿泊観光は、現状の奈良県では検討どうこうはなかなか難しいと考えられます。

主な理由としては、宿泊地としての立地に有利である属性(温泉地、レクリエーション地、交通結節点×繁華街)を保有していないことが挙げられます。

そのため、宿泊を促すために頑張っていくというよりかは、基本的には「日帰り観光を充実させていく」という方向性の延長線上で宿泊を考えるべきではないかと考えられます。

 

つまり、日帰り観光地としての地理的利点を活かして(京都・大阪から1時間かからず訪れられる周遊型観光地)、日帰り観光での観光コンテンツの充実を図り、滞在時間の長時間化、客単価の上昇を目指す。そして、コンテンツの充実が進むにつれて、「じゃあ一泊してもうちょっと回ろうか」という気持ちを誘起させていく。

 

では、具体的にどのように日帰り観光の充実を図るかについてですが、基本的には、奈良のメイン商品である神社仏閣(東大寺春日大社法隆寺・明日香・橿原神宮を軸とした)巡りの利便性を高めるとともに、その合間に楽しむ他のコンテンツと連携を図ることだと考えられます。他のコンテンツとしては、主に昼食、喫茶・スイーツ、直売所・道の駅・お土産屋が考えられますが、特に神社仏閣巡りでのテンション(歴史・文化的なものを楽しむテンション)にマッチした形での提供が求められると考えられます。(まさに奈良町がこれ。)

さらに、酒造巡り体験型観光桜・紅葉などの自然観賞歴史・自然を感じるハイキングなど、他のコンテンツとの連携も図っていくと。

 

肝は、神社仏閣巡りに付随するコンテンツの情報の発信について、いかにメインコンテンツとセットでPRできるかだと考えられます。なぜなら、観光客の訪問が見込めて初めて、そこへの交通インフラの拡充、そこコンテンツの利便性向上等が進むと考えられるからです。

 

すごく当たり前の路線ですが、奈良の魅力である歴史・文化資源を活用しつつ、立地の良さを活かす(大阪・京都から近い)には、主要な歴史・文化施設の魅力を維持・向上させつつ、その観光資源周辺に付随するコンテツと併せてPRしていくことで、コンテンツを育てて、多様性を生み出し、観光産業の拡大や宿泊者数の向上を図っていく、という方針がベターなのかなと考えられます。

 

(その他、豊かな自然と南部の温泉を軸に、県内及び和歌山、三重、大阪、京都の一部の人々をターゲットとして、自然を活用したレクリエーションという方向性もありうると思いますが、今回は割愛で。)

  

7.まとめ

以上、ざくっと検討プロセスまとめると、 

  •  観光資源の開発は短期的にできることではないので、まずは、自地域に存在する資源の状況を把握する。
  • 次に、観光客の声に耳を傾ける。
  • そして、自地域の資源をどう活用すればよいかを考える。

という作業を、データを拾いながらやっていく作業が大事と考えられます。

 

今回の記事の中では、地域・文化を商品化する是非であるとか、観光業と地元住民との対立等、観光振興にあたり考えるべきテーマは扱わず、経済的側面での活性化だけを取り上げましたが、観光は非常に分野が多岐にわたるテーマですので、今後も継続して記事として取り上げていければと思います。

 

ではまた。

 

※参考文献と次回予告

(参考文献)
観光学入門―ポスト・マス・ツーリズムの観光学 (有斐閣アルマ)

観光学入門―ポスト・マス・ツーリズムの観光学 (有斐閣アルマ)

 

 

観光まちづくりのマーケティング

観光まちづくりのマーケティング

 

(2)調査研究 - 一般社団法人 奈良県中小企業診断士会

観光統計資料集/奈良県公式ホームページ

共通基準による観光入込客統計 | 統計情報 | 統計情報・白書 | 観光庁

宿泊旅行統計調査 | 統計情報 | 統計情報・白書 | 観光庁

 

 

(次回予告)

次回は、最近読んだ超面白かった本「まちづくり構造改革ー地域経済構造をデザインする/中村良平著/日本加除出版)のメインテーマである地域経済構造分析をベースに、地方創世関係で何かしら記事を書ければと思っています。

ここで、地域経済構造分析とは、地域産業連関表を基に、地域経済の構造(お金の動き)を見える化し、どうすれば地域経済が活性化し、地域にお金が落ち、地域住民が豊かになるかを具体的に分析するための手法です。

都道府県・経済圏の地域経済分析を公表しました(METI/経済産業省)

 

まちづくり構造改革―地域経済構造をデザインする

まちづくり構造改革―地域経済構造をデザインする

 

 

 

今更ながら夕張市の財政破綻についてまとめてみた

前回記事からずいぶん時間がたっちゃいましたが、今日は自治体の財政破綻について学ぶため、夕張市の破綻事例を取り上げ、整理してみたいと思います。

 

夕張市財政破綻の経緯

  • 1888年に炭鉱が見つかり、その後炭鉱の町として発展していく

 

  • 1960年に最多人口116908人を記録(現在は約9500人)。一方、国のエネルギー政策が石炭から石油に転換し始め、その後衰退の一途をたどる。

 

  • 1990年に三菱南大夕張炭鉱が閉山し、市内すべての炭鉱が閉山。

※補足1.炭鉱の町の社会インフラ

  • 夕張市の炭鉱の特徴として、住宅、浴場、水道、病院等の社会インフラをすべて炭鉱会社が整備・運営する点が挙げられる。つまり、炭鉱閉山後は、炭鉱労働者が住んでいた町の社会インフラがストップしてしまうことに。
  • 夕張市は、炭鉱閉山後、住民の生活を保障するため(人口流出を防止するため)、炭鉱会社の社会インフラを買い取り、老朽化の進むインフラを583億円(うち332億円は借金)の投資で整備するなどの閉山処理を実施。

 

  • 「炭鉱から観光へ」を合言葉に、リゾート開発を推進。

※補足2.リゾート開発の経緯

  • 1986年制定の民活法、1987年制定のリゾート法を背景に、国が地方でのリゾート開発を推進。その流れにのって夕張市でも「炭鉱から観光へ」を合言葉に、産業構造の転換を図るため企業を誘致しリゾート開発を進めた。
  • しかし、バブル崩壊もありリゾート開発はあえなく失敗。夕張市は、市民の雇用先となっていたこれらリゾート施設(スキー場、ホテル等)を買い取り、3セクとして運営していくことに。(毎年の赤字経営がその後続く。)

 

 

 

※補足3.人々の意識

(住民)

  • 炭鉱会社は、労働者の生活を手厚く保証してきた。例えば、炭鉱全盛期は、炭鉱会社が労働者の住宅・光熱水費を全て負担するなどが行われてきた。
  • この背景のもと、夕張市の住民の中には、「お上が何とかしてくれる」姿勢があったものと思われる。
  • 2006年秋、再建団体移行に向けた住民説明会では、市全体6600世帯のうち、4000世帯が公営住宅に入居しており、家賃滞納世帯20%越え。払えるのに払わないケースが多数あることが報告されている。


(行政)

  • 夕張市では中田市長が1979-2003年にわたりワンマン政権を築く。中田市長の口癖は「国がエネルギー転換を推進して夕張をつぶしたんだから、国が夕張を面倒見るのは当たり前」。

 

財政破綻のポイントはどこ?

個人的には3つあると思う。

 

①炭鉱の閉山処理を夕張市が実施する選択をしたこと。この選択により、583億円の費用が掛かった。(負債総額632億円と比較しても、問題の一番の引き金であることが分かる。)

しかし、閉山処理をしなければ、炭鉱で働いていた労働者たちはどうなっていたのか。仕事を失った彼らに、住むところすら追い出す様なことが果たしてできたのか。

「住民の生活を守るためにコストかけます」は通用するけど、「お金ないので、みなさんその土地を去ってください」は、通用しないであろう。

 

②社会の流れにのって、採算度外視のリゾート開発に着手したこと。この選択により、赤字施設を抱え込むことに。

しかし、これについても、「雇用を守る」は通用するけど、「お金ないので働き口は引っ越しとかして他で探してくださーい」は通用しないであろう。


③メロンと炭鉱以外に産業を見出せなかったこと。

観光って、みんな飛びつくけど収益そんな簡単にあがらんよね。

 

まとめと感想

  • 夕張市財政破綻の要因は、炭鉱の閉山処理とリゾート開発の推進。
  • しかしそこには、住民の生活を守るべきか、それとも自治体財政の健全性を守るべきかの難しい選択があったと推察される。
  • 閉山処理とリゾート開発に着手した動機は分からなくもないが、閉山処理を、もっとローコストでできなかったのか。観光活性化を、もっと費用対効果高くできなかったのか。金をぶっこむ以外の住民の生活を保障する方法はなかったのか。この辺りに疑問が残る。
  • そして、観光で頑張ろうとしている地域をたくさん見かけるけど、実際問題観光で地域を活性化させることって可能なのかにすごく疑問がわいてきた。

 

次回の予告

次回は、観光での地域活性化を取り上げる予定。

おすすめ情報・おすすめ本等あれば教えていただけるとありがたいっす。

2週間後の12月16日(火)あたりを目標にちまちま積み上げていきますわ。

 

簡単ですが、今日はこの辺で ノシ

 

★参考文献

自治体倒産時代 (講談社+α新書)

自治体倒産時代 (講談社+α新書)

 

 ↑夕張だけでなく、全国の事例を広く取り扱っており、入口にはよさげ。

 

 

夕張 破綻と再生―財政危機から地域を再建するために

夕張 破綻と再生―財政危機から地域を再建するために

 

 ↑さすが研究者と言わんばかりに、問題点を端的に指摘している印象。国・道の責任についても指摘されている本はあまりないのではないだろうか。

 

 

限界自治 夕張検証―女性記者が追った600日

限界自治 夕張検証―女性記者が追った600日

 

 ↑新聞記者さんが作っただけあって、住民、関係者の生のコメントがふんだんに掲載されていて、財政破綻の過程を垣間見ることができた。とてもおススメ。

 

 

一番やさしい自治体財政の本

一番やさしい自治体財政の本

 

 ↑すっごい平易に、しかし大事なことはおさえて書いてくれてる本。入門書に最適。

最近話題の「消滅自治体レポート(日本創成会議のレポート)」を読んでみた

日本創成会議のレポート「ストップ少子化・地方元気戦略」について,最近議論が活発化してきているようですね.

「地方創生」論議で注目、増田レポート「地方が消滅する」は本当か? 木下斉 | THE PAGE(ザ・ページ)

少子化対策より交付金? 地方創生「東京集中是正論」の裏側 都市の若者支援急務 :日本経済新聞

 

それに便乗して,僕も少し読んでみました.

 

1.日本創成会議のレポート「ストップ少子化・地方元気戦略」ってどんな内容?

僕の主観も入っていますが,一言でいうと「地方を元気にする戦略を,地方の生産年齢人口を増加させる視点から記述したもの」なのかなーと思います.

 

レポートの主な内容は,下記の通り.

  • 合計特殊出生率(1.3%)を,本当はこれだけ子供欲しいとみんなが思っている値をベースに計算した出生率である「希望出生率」(1.8%)まで引き上げるぞ!
  • 若者が地方から東京に流れないようにするぞ!
  • 足りない労働力は,女性・高齢者・海外の優秀な人を日本で活用して乗り切るぞ!
  • 若い女性(20歳―39歳)が2040年までに半減する町がいっぱいあって大変だ!

 

少子高齢化の話が出てきているから主張がぼやけているけれど,基本的には「このままの人口の流れで行くと地方がヤバい!なんとかしないと!」ということが,レポートの根底にあるのかなと感じました.

 

 

2.地方の人口がこのままの流れだと何が問題なの?

地方の人口がこのまま進み,生産年齢人口が極端に少なくなったり,女性が減って人口の再生産ができなくなると何が地方で問題になるかというと,主に以下の3つなのかなと.

  • 世代間の人口バランスが歪なため,高齢者の生活が成り立たなくなったり,若者に負担が重くのしかかったりする.例えば,自治会とかを運営してくれる若者がいなくなったり,高齢者の買い物・通院を支援してくれる企業・ボランティアが無くなったり,労働者不足によって医療・介護のサービスを高齢者が十分に受けられなくなったり,逆に労働者がすごく増えたり…そんなことが想像される.
  • 地域の文化・歴史が消滅する.祭りとか無くなっていくだろうし,地域の伝統芸能とかも無くなっていくだろうし,地域の語り部がいなくなっちゃったりもするのかなと想像.
  • 自治体の財政赤字が拡大して,財政破たんしてしまう.生産年齢人口減ると,法人税関連がかなり減ってしまう.

 

(ただ,色々書いたんですが,結局のところ地方が大変な状況になった時に,若者は都市部へ移動できてしまうと思うんです.なので,問題となってくるのは,都市部に移動できなく,かつ衰退していく過程を「不幸」に感じる人々の生活をどう豊かにするかということなのかなと個人的には思っています.高齢世代に迎合している感もありますが,やっぱり自分のいる土地が元気なくなっていくのは悲しいですもん..)

 

 

3.地方に若者を増やすにはどうしたらよいの?

ということで,地方の生産年齢人口を増やすにはどうしたらよいのかということですが,正直よく分かりません.汗

が,個人的には「地方にクリエイティブな仕事を作る」ことではないかと思っています.

 

クリエイティブな仕事を地方に作ることで,生産性の高い人材を地方に呼び込む.その人材が,その土地の仕事の生産性を高め,人を引き寄せ,仕事を生み出し,産業の生態系を育てていく,という流れを作ることが必要なのかなと.

 

ただ,問題なのは,クリエイティブな仕事はコミュニケーション依存度が高く,産業が集積している都市部に位置する方が圧倒的に有利なこと.

よく,ネットが発達したからe-ラーニングで地方でも良い教育を!とか,Skype会議もできるから地方で仕事を!とかありますけど,結局,対面でのコミュニケーションの価値が大きいため,いまだにそんな社会は到来してません.

そのため,クリエイティブな仕事を地方で作り出すのはすごく難しいと思うんですが,そこが今の現状を抜け出す道なのかなと.

 

しかし,そんな飛び道具的な解決策も正直思いつかないので,まずは地道に既存事業の生産性を高めるところから始めて,並行で地方での生産性の高い仕事の創出の仕組みを探る,モデルを作っていくのかなと思います.

 

 

4.最後に雑感を...

  • 地方だけでなく,日本全体の少子高齢化対策も本格的に取り組まないといけない.そのときに重要なのは,冒頭の記事でもご指摘されているように,都市部での少子高齢化対策なのだと思う.
  • 人口構成の改善と併せて地方財政の健全化にも積極的に取り組む必要があるんだと思う.
  • 元気戦略だけでなく,撤退戦略についてもポジティブに考えを深める必要があると思う.
  • 都市化の流れは悪者に語られるけれど,現実的にはその流れを止めようとするのではなく,流れに沿った社会構造にしていく必要があるんじゃないかと思う.
  • そうはいっても,地方で仕事・産業の生態系創出に向けた取組も並行して必要だと思うので,その糸口を見つけなければ.

 

 

異論・反論,あればご教授お願いします.

ではでは,今日はこの辺で.

 

 

★参考文献

 

年収は「住むところ」で決まる  雇用とイノベーションの都市経済学

年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学

 

 

 

発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学 (ちくま学芸文庫)

発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学 (ちくま学芸文庫)

 

 

 

撤退の農村計画―過疎地域からはじまる戦略的再編

撤退の農村計画―過疎地域からはじまる戦略的再編

 

 

経営からの地域再生・都市再生 [木下斉]